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亡魂
「亡魂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
亡魂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
り僅かに六年前の事で、其の時から今まで此の屋敷はガラ空になって居るが、其の老女の
亡魂も矢張り幽霊に成って其の殺された室へ今以て現れると云う事だ、其の室は丁度余が....
「試験管」より 著者:寺田寅彦
なる蒲の穂や菱の浮き葉は、やはり今でも日本にあるにはあるのである。精霊棚を設けて
亡魂を迎える人はやはり今でもあるのである。これがある限り日本はやはり日本である。....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
賊とかまたは殺人の罪人とか、そういうものを退治るなら一も二もなくお受けしようが、
亡魂とあっては有難くない――これが葉之助の心持ちであった。 「主命を拒むではござ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
る。 「ナニ!」 竜之助は猪口《ちょく》を取落した。 お松がいま言うた九重の
亡魂《なきたま》でなければ、竜之助の身の中から湧いて出る悪気《あっき》。 この....
「まぼろし」より 著者:国木田独歩
自分は当時、かれを見るごとに言うべからざる痛ましさを感じた。かれは『過去』の
亡魂である、それでもいい足りない。『封建時代』の化石である、それでもいい足りない....
「西鶴と科学」より 著者:寺田寅彦
び、声のあやぎれもなくおはりよ/\と泣きぬ、云々」とある、これが昔おろした子供の
亡魂の幻像であったというのである。実に簡潔で深刻に生ま生ましい記載である。蓮の葉....
「行雲流水」より 著者:坂口安吾
りすてるほど味のでるものだ。いずれヒマの折にお経をつぎたしてあげるから、ゆっくり
亡魂と語り合うのがよろしかろう」 「ふざけやがんな。オタンコナスめ」 と、漬物....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
よ。ロシヤ的ストイシズム、特にドストエフスキーの安直な申し子さ。白痴的善意主義の
亡魂、悪霊というもんですよ。彼の夢とセンチメンタリズムに安直に合致するような現実....
「日置流系図」より 著者:国枝史郎
ているが戦国時代にはあの辺に大きな館があったのだ。日置弾正様のお館がな。――で、
亡魂が残っておられ、日置流の頽廃を嘆かせられ夜な夜な怪異を示されて勇士をお求めに....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
ろうと! ……本望、わたしは、わたしは本望! ……主税様と二人で死ぬのなら……」
亡魂の招くところ たちまちふいに闇の部屋の中へ、一筋の薄赤い光が射した。 (あ....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
たにも聞こえたではございませんか」 二人は顔をそむけ合った。 「……あれはな、
亡魂の声ではない。……たしかに人間の声だった」 しかし女房は首を振った。 「あ....
「月の夜がたり」より 著者:岡本綺堂
来と不義のこと露顕いたし候|間、後の月見の夜、両人ともに成敗を加え候ところ、女の
亡魂さまざまの祟りをなすに付、その黒髪をここにまつりおき候事。 昔の旗本屋敷な....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
た。その城址を誰も修理する者もないのみか、焼け残った本丸の百畳敷には、赤松一族の
亡魂があらわれるというので、めったに近寄る者もなかった。獲物をあさり疲れた兄弟は....
「父の出郷」より 著者:葛西善蔵
い雲の間がひとところポーと黄色く明るんだ。「父だ!」とその瞬間にそう思った。父の
亡魂なのだ。不孝の子を父ははるばると訪ねてきてくれたのだと思うと私はまた新しく涙....
「四谷怪談異説」より 著者:岡本綺堂
左門町に住んでいた田宮伊右衛門という侍がその妻のお岩を虐待して死に至らしめ、その
亡魂が祟りをなして田宮の家は遂にほろびたというのが、先ず普通一般に信じられている....