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交る
「交る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
交るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
|恬然《てんぜん》と虚偽を吐かせるものである。この故に我我の友人知己と最も親密に
交る為めには、互に利害と軽蔑とを最も完全に具《そな》えなければならぬ。これは勿論....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
我は偏に、君の家厳の、左右一顧の余裕のない、一時の激怒を惜むとともに、清冽一塵の
交るを許さぬ、峻厳なるその主義に深大なる敬意を表する。 英吉君、能うべくは、我....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
けが唯一つ感激に震えて燃えていた。死を宣告される前のような、奇怪な不安と沈静とが
交る交る襲って来た。不安が沈静に代る度にクララの眼には涙が湧き上った。クララの処....
「海異記」より 著者:泉鏡花
り知られぬ、潮の陣を防ぎ止めて、崩れかかる雪のごとく鎬を削る頼母しさ。砂山に生え
交る、茅、芒はやがて散り、はた年ごとに枯れ果てても、千代万代の末かけて、巌は松の....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
綟綟れの三尺で、頬被りした、ずんぐり肥った赤ら顔の兄哥が一人、のっそり腕組をして
交る…… 二人ばかり、十二三、四五ぐらいな、子守の娘が、横ちょ、と猪首に小児を....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
の口を抜くのを差控えたほどであった。 汽車に連るる、野も、畑も、畑の薄も、薄に
交る紅の木の葉も、紫|籠めた野末の霧も、霧を刷いた山々も、皆|嫁く人の背景であっ....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
、矢をはぎ、斧を舞わし、太刀をかざして、頤から頭なりに、首を一つぐるりと振って、
交る交るに緩く舞う。舞果てると鼻の尖に指を立てて臨兵闘者云々と九字を切る。一体、....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
もう水道橋――三崎|稲荷の朱の鳥居が、物干場の草原だの、浅蜊、蜆の貝殻の棄てたも
交る、空地を通して、その名の岬に立ったように、土手の松に並んで見通された。 …....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
漏れる。人は皆な寝て居るのだ。犬は羨ましく思いながら番をして居る。犬は左右の眼で
交る交る寝た。そうして何か物音がする度に頭を上げて、燐のように輝く眼を※児の匂い....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
飾から、光の射すお方を見たら、お連れ申して参りますように、お使でございます。」と
交る交るいって、向合って、いたいたけに袖をひたりと立つと、真中に両方から舁き据え....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
一条の糸を渡したので町幅を截って引張合って、はらはらと走り、三ツ四ツ小さな顔が、
交る交る見返り、見返り、 「雁が一羽|懸った、」 「懸った、懸った。」 「晩のお....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
。外の春日が、麗かに垣の破目へ映って、娘が覗くように、千代紙で招くのは、菜の花に
交る紫雲英である。…… 少年の瞼は颯と血を潮した。 袖さえ軽い羽かと思う、蝶....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
明神は女神ですから。……ところで(船中には、一人坊主を忌むとて、出家一|人のみ立
交る時は、海神の祟ありと聞けば、彼の美女の心、いかばかりか、尚おその上に傷みなむ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
懸けると寝台の上に仰向けになっていたのは、辷り落ちるように下りて蹌踉と外科室へ入
交る。 同時に医学士に診察を受けていた貴夫人は胸を掻合せたが、金縁の眼鏡をかけ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
、里のわたりの夕まぐれ、 と廊下で繃帯を巻きながら、唐糸の響くように、四五人で
交る交る低唱していた、看護婦たちの声が、フト途切れたトタンに。 硝子窓へばらば....