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交錯
「交錯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
交錯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
うに、あまりに軽く、余りに薄っぺらに光りすぎる。ただ淡水と潮水《ちょうすい》とが
交錯する平原の大河の水は、冷やかな青に、濁った黄の暖かみを交えて、どことなく人間....
「或る女」より 著者:有島武郎
き恨まねばならぬ事なのか。……喜怒哀楽のどれか一つだけでは表わし得ない、不思議に
交錯した感情が、葉子の目からとめどなく涙を誘い出した。あんな世界がこんな世界に変....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
うも広々としているものかと思われる程、ゆったりとした天井裏であった。頑丈な棟木が
交錯して、奇怪な空間を形作っている。と、十間ばかりの彼方に、正しく俯臥せに倒れて....
「三十年後の世界」より 著者:海野十三
をあげた者がある。 何だろうと思って、正吉は上を見た。 すると、通路の天井の
交錯《こうさく》した梁《はり》の上に、一人の男がひっかかって、長くのびているでは....
「海底都市」より 著者:海野十三
さないですんだ。 無事に、動く道路から下りた。 すてきなにぎやかさだ。音楽が
交錯《こうさく》して、聞こえて来る。五彩《ごさい》の照明の美しさ、それは建物を照....
「○○獣」より 著者:海野十三
涙が滾れおちるほどの痛みを感じたから。 二つの真黒な怪球は、二条の赤い光を宙に
交錯させつつ、もつれあうようにクルクルと廻りだした。その速いことといったら、だん....
「橋」より 著者:池谷信三郎
なく真直ぐに走って、自動車の頭灯が、魚の動きにつれて光る、夜の海の夜光虫のように
交錯していた。 階下の工場で、一分間に数千枚の新聞紙を刷りだす、アルバート会社....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
と探し出す事だよ」 大月は再び熱心に靴跡を辿り始めた。 軈て暫くして、靴跡が
交錯しながら砂地から芝草の中へ消えているあたり迄来ると、再び二人の立会人を招いて....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
り、あたかも自分の肉体の一部であるかのように自由自在にそれを操つて、曲線や曲面を
交錯させた不思議な美しさをえがきながら踊るのであるが、その大風呂敷は絶えず次から....
「三重宙返りの記」より 著者:海野十三
には、僕の身体は、機外においてけぼりにされたように感じた。水平線が、きらきらと、
交錯した水車の車軸のようにみえる。奇妙なことだ。 一等気持のわるかったのは、上....
「母と娘」より 著者:岡本かの子
いて村人等は声高に論議しました。やがて十一発目が飛んで行きました。科学と神秘との
交錯した光景に私の頭は錯乱したようになって亢奮に身を顫わせて空を見上げました。ア....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
ウカウカ読んでる時はほぼ輪廓を掴んでるように思うが、細かに脈絡を尋ねる時は筋道が
交錯していて彼我の関係を容易に弁識し難い個処がある。総じて複雑した脚色は当の作者....
「大切な雰囲気」より 著者:石井柏亭
であろう。彼の随筆には古いもの伝統的なものに憧れる都会人と機械美を好む尖端人との
交錯が窺われる。そうして古いものの完き姿が現代に求められなくなり、磨きのかかって....
「日本画と線」より 著者:上村松園
て色彩を持つもので、色彩を先にすべきものだとは思いません。線の長短や緩急が互いに
交錯して、物象の内面外面を現わす妙味は、到底言葉に云い尽せません。私が今の若い人....
「最初の印象」より 著者:大倉燁子
のことです。 池袋のお宅のお座敷で、先生をお待ちする間、私の心は好奇心と不安が
交錯していました。 と、いうのは、その頃。 「江戸川乱歩先生のお書斎にはドクロ....