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人垣
「人垣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
人垣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
刺戟《しげき》の強い色を振播《ふりま》いて歩いた。
競馬場の埒《らち》の周囲は
人垣で埋った。三、四軒の農場の主人たちは決勝点の所に一段高く桟敷《さじき》をしつ....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
が、突然地面の上に現われ出た瓶の山と乳の海とに眼を見張った瞬間に、道の向こう側の
人垣を作ってわめき合っていた子供たちの群れは、一人残らず飛び上がらんばかりに驚い....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
く見たいがためだった。 市長室に据えつけられた金庫の前は、たちまち十重二十重に
人垣で囲まれた。遅れ走せに駆けつけた議員たちは、熱狂のあまり、市長の机の上に土足....
「夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
て横に動くのだった。 「おい、政ッ!」わしは、クレーンの運転手をやっている男を、
人垣の中に呼んだ。 「へえ――」政は、紙のように、白い顔をして、おずおずと、前へ....
「蠅」より 著者:海野十三
」 一同は喚きあって、その四角の黒函をグルリと取り巻いた。 「あッはッはッ」と
人垣のうしろの方から、無遠慮な爆笑の声がひびいた。フョードル参謀の声で。 「あッ....
「蠅男」より 著者:海野十三
「ウム、いま十一時五十五分だ。――」 と叫んで、周囲をグルッと見廻したが、その
人垣の外に、村松検事が皮肉たっぷりの笑みを浮べて立っているのを見つけると、 「あ....
「地球盗難」より 著者:海野十三
の方へ歩いていった。 彼等は、すると、またワーッと大隅のまわりに集って、これを
人垣の中にとりかこんでしまった。 「あれですね。成長異常現象の犠牲者は?」 と....
「一坪館」より 著者:海野十三
少佐は、よろこびのあまり、ぴゅーッと口笛を吹いたほどだった。全く一坪館の前は
人垣をつくっていて、中で働いているはずの源一の顔も見えなかった。 店の中へ少佐....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
指さした消えた花籠のことを、彼らも思いだしたからであろう。 房枝も、もちろん、
人垣の間から、一生けんめいに、黒川たちの話に、きき耳を立てていた。 「なんだ、ば....
「火星兵団」より 著者:海野十三
非常召集の命令が出たとみえ、森の出口のところには、棒をもった警官隊がずらりと
人垣をつくって通せん坊をしているのが見えた。
「あっ、あぶない!」
「なに、かま....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
火事のように湧立ち揉合う群集の黒山。中野行を待つ右側も、品川の左側も、二重三重に
人垣を造って、線路の上まで押覆さる。 すぐに電車が来た処で、どうせ一度では乗れ....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
群集はぱっと道を分けた。 宝の市の見物は、これよりして早や宗右衛門町の両側に、
人垣を築いて見送ったのである。 その年十月十九日、宝の市の最後の夜は、稚児、市....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
水の流が急激に走るから、推されて蹈はずす憂があるので、群集は残らず井菊屋の片側に
人垣を築いたため、背後の方の片袖の姿斜めな夫人の目には、山から星まじりに、祭屋台....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
。 内地から醤油、味噌、麦、大豆なんか積んで、船の入る日にゃ、男も女も浪打際へ
人垣の黒だかり。遥の空で雲が動くように、大浪の間に帆が一ツ横になって見える時分か....
「鳩つかひ」より 著者:大倉燁子
と刑事との間に腰かけた。 「前の補助椅子にもう一人の刑事を乗せるから、杉山さんは
人垣に囲まれるわけだ、これなら安全でしょう?」 三人の刑事に保護され、無事にホ....