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「人心地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

人心地の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
仙人」より 著者:芥川竜之介
てて、その軒下へかけこんだ。まず、顔の滴をはらう。それから、袖をしぼる。やっと、人心地がついた所で頭の上の扁額《へんがく》を見ると、それには、山神廟《さんじんび....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
波一つ揚げていなかった。周囲に聳《そび》えた山々も重苦しい夏の緑の色が、わずかに人心地のついた彼には、ほとんど永久に癒《い》やす事を知らない、憂鬱そのもののごと....
或る女」より 著者:有島武郎
くれた。葉子はそれで白粉気《おしろいけ》のない顔を思う存分に冷やした。そして少し人心地《ひとごこち》がついたので、帯の間から懐中鏡を取り出して顔を直そうとすると....
或る女」より 著者:有島武郎
失っているのを覚えた。倉地の浴したあとで、熱めな塩湯にゆっくり浸ったのでようやく人心地《ひとごこち》がついて戻《もど》って来た時には、素早《すばや》い女中の働き....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
てておくれ」 渠は内儀を縛《いまし》めんとて、その細帯を解かんとせり。ほとんど人心地《ひとごこち》あらざるまでに恐怖したりし主婦《あるじ》は、このときようよう....
爆薬の花籠」より 著者:海野十三
とつづけさまに、爆撃されるだろうと、ふるえあがった船客たちは、このとき、ようやく人心地に戻った。 「おや、爆撃は一発でおしまいで、もう怪飛行機はにげていったか」....
薬草取」より 著者:泉鏡花
。しかし、もうその時は、命の親の、優しい手に抱かれていました。世にも綺麗な娘で。人心地もなく苦しんだ目が、幽に開いた時、初めて見た姿は、艶かな黒髪を、男のような....
星女郎」より 著者:泉鏡花
したが、こっちで口へ当がってやらずには、震えて飲めなんだでござります。 やっと人心地になった処で、本堂|傍の休息所へ連込みました。 処で様子を尋ねると、(そ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
中、あの最初の精神の暴風雨が次第に収まるにつれて、私の傷けられた頭脳にも少しづつ人心地が出てまいりました。うとうとしながらも私は考えました。―― 『私は今斯うし....
獄中消息」より 著者:大杉栄
ともあったが、やがて綿入れを一枚増して貰ったのと、天候の恢復したのとで、ようやく人心地に帰って、ついにかぜ一つ引かずにともかくも今日まで漕ぎつけて来た。 監獄....
取舵」より 著者:泉鏡花
空気の流通を礙げられて、窖廩はついに蒸風呂となりぬ。婦女等は苦悶に苦悶を重ねて、人心地を覚えざるもありき。 睡りたるか、覚めたるか、身動きもせで臥したりし盲人....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
て石垣へだぶり。 「当りますよ。」 「活きてるか、これ、」 二度まで揺られても人心地のないようだった一名は、この時わけもなくむっくと起きて、真先に船から出たの....
三枚続」より 著者:泉鏡花
も利かなかった咄嗟の間、お夏は船納涼の転寝にもついぞ覚えぬ、冷たさを身に感じて、人心地もなく小刻につかつかと踵を返した。 鳳仙花の咲いた処でぬっと出て来たのは....
註文帳」より 著者:泉鏡花
唇に、艶々と鉄漿を含んでいる、幻はかえって目前。 「わッ」というと真俯向、五助は人心地あることか。 「横町に一ツずつある芝の海さ、見や、長屋の中を突通しに廓が見....
活人形」より 著者:泉鏡花
水を持来りて、呑ましてくるる者のあり。眼も眩み夢中にてただ一呼吸に呑干しつ、やや人心地になりたれば、介抱せし人を見るに、別人ならぬ悪僕なり。はっと思うに毒や利き....