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「人知れず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

人知れずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
報恩記」より 著者:芥川竜之介
日を送られるのは、皆甚内の御蔭でございますから、いつでもあの男の仕合せのために、人知れずおん母「まりや」様へも、祈願《きがん》をこめていたのでございます。ところ....
神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
、道風《どうふう》、佐理《さり》、行成《こうぜい》――私は彼等のいる所に、いつも人知れず行っていました。彼等が手本にしていたのは、皆支那人の墨蹟《ぼくせき》です....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
求馬の寂しさには気がつかなかった。 やがて寛文十年の春が来た。求馬はその頃から人知れず、吉原の廓《くるわ》に通い出した。相方《あいかた》は和泉屋《いずみや》の....
或る女」より 著者:有島武郎
乗って帰って来た船に木村も乗って一緒に帰って来たら、葉子はあるいは木村を船の中で人知れず殺して海の中に投げ込んでいようとも、木村の記憶は哀《かな》しくなつかしい....
婦系図」より 著者:泉鏡花
期せずして遊蕩の顧問になる。尠からず悩まされて、自分にお蔦と云う弱点があるだけ、人知れず冷汗が習であったから、その事ならもう聞くまい、と手強く念を入れると、今夜....
クララの出家」より 著者:有島武郎
と罵られながらも、聖ダミヤノ寺院の再建勧進にアッシジの街に現われ出した。クララは人知れずこの乞食僧の挙動を注意していた。その頃にモントルソリ家との婚談も持上って....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
参ります。 公子 ここに、用意の宝蔵がある。皆、貴女のものです。施すは可い。が、人知れずでなければ出来ない、貴女の名を顕し、姿を見せては施すことはならないんです....
紅玉」より 著者:泉鏡花
辺を※す)そうそう、思った同士、人前で内証で心を通わす時は、一ツに向った卓子が、人知れず、脚を上げたり下げたりする、幽な、しかし脈を打って、血の通う、その符牒で....
縁結び」より 著者:泉鏡花
、その時の姿が、今さしむかいに見えるようで、私は自分の母親の事と一所に、しばらく人知れず泣いて、ようよう外へ出て、日を見て目を拭いた次第だった。翌晩、朝顔を踊っ....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
「もう可いんですよ。立花さん。」 操は二人とも守り得た。彫刻師はその夜の中に、人知れず、暗ながら、心の光に縁側を忍んで、裏の垣根を越して、庭を出るその後姿を、....
黒百合」より 著者:泉鏡花
る。遊好の若様は時間に関らず、横町で糸を切って、勇美子の頭飾をどうして取ったか、人知れず掌に弄んだ上に、またここへ来てその姿を顕した。 滝太郎は、さすがに玉の....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の中に神様ほど難有いものはございませぬ。善きにつけ、悪しきにつけ、影身に添いて、人知れず何彼とお世話を焼いてくださるのでございます。それがよく判らないばかりに、....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
の苦痛を医すべく、昔|馴染の魔窟に出入して、恰度自分に誂向きの犠牲者を捜し出し、人知れずその体内にくぐり込んで、酒色の慾を満足せんとするのである。即ち外面的に観....
三枚続」より 著者:泉鏡花
、斜とも謂わず、直ともいわず、矢玉のように飛び込むので、かの兀頭の小男は先刻から人知れず愛吉の話に聞惚れて、ひたすら俯向いて額をおさえているのであったが、その手....
式部小路」より 著者:泉鏡花
で竹永さん、貴下が探りましたね、第一、愛吉が知っていたんだね。…… お夏さんは人知れず、あの気象には珍らしい、豪家が退転をするというほどの火事の中でも、両親で....