»
仇名
「仇名〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
仇名の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
ってお米につけないですむことですから、二ツ返事で呑込みました。 あの容色で家の
仇名にさえなった娘を、親身を突放したと思えば薄情でございますが、切ない中を当節柄....
「孔乙己」より 著者:井上紅梅
書いてから、これもまた解るような解らぬようなあいまいの中に彼のために一つの確たる
仇名が出来て、孔乙己と呼ばれるようになった。 孔乙己が店に来ると、そこにいる飲....
「吉良上野の立場」より 著者:菊池寛
いてもらう法もあるが、大野は吝《けち》ん坊で、七百両説に大賛成であろうし、大石は
仇名の通り昼行灯で、算盤珠のことで殿に進言するという柄ではないし……」 「困った....
「大力物語」より 著者:菊池寛
濃国、小川の市に力強き女があった。身体も人並はずれて大きく百人力といわれていた。
仇名を美濃狐といった。四代目の先祖が、狐と結婚したと云うことであった。狐と大力と....
「奉行と人相学」より 著者:菊池寛
引きすえられていた盗賊の木鼠長吉を見たのである。彼は、仲間で木鼠ともむささびとも
仇名をとっていた。むささびが、梢から梢へ身を移す如く進退が敏捷であったからである....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
を残している。この先生は絶対に叱らず、怒らなかった。生徒たちは「観音さん」という
仇名をつけていた。その容貌も支那の禅僧のような沈んだ深みのあるものであった。少し....
「かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
り村様の村はむら気のむら、三十前から綱では行かぬ恐ろしの腕と戻橋の狂言以来かげの
仇名を小百合と呼ばれあれと言えばうなずかぬ者のない名代の色悪変ると言うは世より心不めでたし不めでたし....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
手前の腹の虫も大分|癒《い》えてござります。何をかくそう、あ奴めは、百化け十吉と
仇名のお尋ね者にござりまするよ」 「奇態な名前のようじゃが、変装でもが巧みな奴か....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
弥太一様がわたしを名ざしでお越しなはってな、お前はこの曲輪《くるわ》で観音太夫と
仇名されている程の観音ずきじゃ。ついては、珍しい秘仏をさるお大尽様が御秘蔵じゃが....
「ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
、一名、ワッフルと申しますのは、このとおりのあばた面だもので、口の悪い人がつけた
仇名なのでございます。わたくしは、その昔、そのソーニャちゃんの名付親になったこと....
「六月」より 著者:相馬泰三
について眺めて行った。最初に彼の目にとまったのは、彼が自分だけで「尨毛の猟犬」と
仇名を与えている二面の主任のKさんであった。彼はすぐ腹の中で初めた。 (やあ、む....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
、帰路大阪へ立寄って文楽を一緒に聞いた事もあった。 余は聖護院の化物屋敷という
仇名のある家に下宿していた。その頃は吉田町にさえ下宿らしい下宿は少なかった。まし....
「所謂批評の「科学性」についての考察」より 著者:戸坂潤
するに批評に於ては、それの身辺小説的なアナロジーとも云うべき「印象批評」はそれが
仇名のものでなくて上乗のものであっても、決してクリスティシズムそのものの上乗であ....
「読書法」より 著者:戸坂潤
家の、専門家なるが故に制限された科学的精神を象徴する様だ。之は文学主義と好一対の
仇名として相応わしいだろう。 だが私は大河内博士の「科学主義工業」の観念の背景....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
や金紗《きんしゃ》を、結綿《ゆいわた》島田の上にかけているので、白木屋お駒という
仇名《あだな》だった。山口屋――本問屋――のお駒ちゃんは八百屋お七――お駒ちゃん....