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今し方
「今し方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
今し方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
とういす》を離れながら、恥しそうに会釈《えしゃく》をした。見れば球を拾ったのは、
今し方女中と噂をした、痩《や》せぎすな隣室の夫人である。
「いいえ。」
毛糸の....
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
ろ》から何か声をかけたが、それさえまるで耳にははいらなかったらしい。
すると、
今し方通った川蒸汽の横波が、斜に川面《かわも》をすべって来て、大きく伝馬の底を揺....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
ました。
「ところがこちらの御新造は、私《わたくし》の顔を御覧になると、『婆や、
今し方御新造が御見えなすったよ。私《わたくし》なんぞの所へ来ても、嫌味一つ云わな....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
。
九人一つ座敷にいる中《うち》で、片岡源五右衛門《かたおかげんごえもん》は、
今し方|厠《かわや》へ立った。早水藤左衛門《はやみとうざえもん》は、下《しも》の....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
擡《もた》げた。
「今日《こんにち》は。お父さんはもうお出かけかえ?」
「ええ、
今し方。――お母さんにも困りましたね。」
「困ったねえ、私は何も名のつくような病....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
柔らげてこう云った。
「己《おれ》は検非違使《けびいし》の庁の役人などではない。
今し方この門の下を通りかかった旅の者だ。だからお前に縄《なわ》をかけて、どうしよ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
んで、渾身《こんしん》の力をこめながら、一気にその剣《つるぎ》を引き抜いた。剣は
今し方|磨《と》いだように鍔元《つばもと》から切先《きっさき》まで冷やかな光を放....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
けんぎ》のため、臨時この旅団に加わっていた、第×聯隊の歩哨《ほしょう》の一人に、
今し方|捉《とら》えられて来たのだった。
この棟《むね》の低い支那家《しないえ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
たのか。」「僕もいるしさ。君の阿母《おかあ》さんもここに御出でなさる。御医者様は
今し方帰ったばかりだ。」――こんな問答を交換しながら、新蔵は眼をお敏から返して、....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
はッ」 と、高らかに笑って、ポンポンと懐の上を叩いた。 高屋市長はと見ると、
今し方総監を介抱していたと思ったのに、いつの間にどこへ行ったのか、姿が消えていた....
「国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
にかかっていた研究所員の名札を見まわした。 「所長室はあいているようだから」と、
今し方、鬼村博士が習慣的にかえして行ったために、「不在」をあらわす赤字の札になっ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
信じになっているのじゃございますまいね」
「|渡り鳥※って、咄嗟に反問した。つい
今し方、自分が虹の表象として吐いた言葉が、偶然かは知らぬが、鎮子によって繰り返さ....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
ら、どんなにうれしいか、本当にいて頂戴」 心から懐しそうな調子だった。登志子は
今し方あの寒い冷たい雨の中を、方面も分らない知らぬ田舎道を人力車にゆられて、長い....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
ひろがってゆくようにも覚えた。 その火は近づいた。果して漁り火だった。わたしが
今し方見たのは趙荘ではなかった。それは一叢の松林で、わたしは去年遊びに来て知って....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
日あの、ちょいと端書を上げておきましたが……」 「あれがね、阿母さん、遅れてつい
今し方着いたんですよ」 「まあ、そうですかよ。やっぱり字の書きようが拙いので、読....