今は昔[語句情報] »
今は昔
「今は昔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
今は昔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
が、この炎天に通う微風のように、かなしく、なつかしく、返って来た。が、彼も弟も、
今は昔の彼らではない。
太郎は、橋を渡りながら、うすいあばたのある顔に、また険....
「竜」より 著者:芥川竜之介
は、何より億劫千万《おっくうせんばん》じゃ。ついては今日から往来のその方どもに、
今は昔の物語を一つずつ聞かせて貰うて、それを双紙に編みなそうと思う。さすれば内裡....
「野分」より 著者:夏目漱石
今でも、そんな御金が這入《はい》る見込があるんですか」と不思議そうに尋ねた。 「
今は昔より下落したと云うのかい。ハハハハハ」と道也先生は大きな声を出して笑った。....
「倫敦塔」より 著者:夏目漱石
をこの環《かん》に繋《つな》いだという。 左《ひだ》りへ折れて血塔の門に入る。
今は昔し薔薇《しょうび》の乱《らん》に目に余る多くの人を幽閉したのはこの塔である....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
う山の緑青で画いた様な杉の幾本に映って楓の紅が目ざましく美しい。斯栂の尾の寺に、
今は昔先輩の某が避暑して居たので、余は同窓の友と二三日泊りがけに遊びに来たものだ....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
見ますと、上野の落ちた後は諸処方々を流浪して、手習いの先生をしたり、病気したり、
今は昔の家来で駒込のすみにごくごく小さな植木屋をしているその者にかかッて、自身は....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
四谷、牛込の二、三ヶ所をこれに加うべく、それらいずれも多少の俤はとどめてあるも、
今は昔の名残りを偲ぶにもよすが少い。殊に山下なるは殆んどあるかなきかで、これより....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
公子の誘惑を蒙《こうむ》ることが、さんざめかしいというような気分にもなりました。
今は昔の初恋の人でないお銀様は、幸内の思い出なんぞにそう深い追懐を払ってやるがも....
「道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
求めて山に入りたる若僧 女鋳鐘師 依志子 三つの相に分ち顕われたる鬼女 清姫
今は昔、紀ノ国日高郡に道成寺と名づくる山寺ありしと伝うれど、およそ幾許の年日を距....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
した夢を抱いていたのだろう。否でも応でも抱かねばならなかった立身出世の夢である。
今は昔で、既に過去となりきって、どこにも支障があろうはずもなかろうからと、鶴見も....
「アイヌ神謡集」より 著者:作者不詳
音を外に,円かな月に夢を結ぶ.嗚呼なんという楽しい生活でしょう.平和の境,それも
今は昔,夢は破れて幾十年,この地は急速な変転をなし,山野は村に,村は町にと次第々....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
裏にて、低い吟詠調にて『合唱』を詠う。人数は少くとも三十人以上であること) 時
今は昔、例えば平安朝の中葉 第一幕 例えば平安京の東南部。小高い丘の上。丘の....
「憑き物系統に関する民族的研究」より 著者:喜田貞吉
。宇治拾遺物語一、宇治殿倒れさせ給いて、実相房僧正験者にめさるる事の条に、 是も
今は昔、高陽院造らるゝ間、宇治殿御騎馬にて渡らせ給ふ間、倒れさせ給ひて、心地|違....
「私の生まれた家」より 著者:中谷宇吉郎
とっくに人手に渡してしまった。まだ家は残っているが、すっかり模様換えをしたので、
今は昔の姿もない。それにしても、私も弟も家とはずいぶん縁の遠い商売になったものである。 (昭和三十六年四月一日)....
「それから」より 著者:夏目漱石
になって、普通のものが結婚をしなければ、世間では何と思うか大抵分るだろう。そりゃ
今は昔と違うから、独身も本人の随意だけれども、独身の為に親や兄弟が迷惑したり、果....