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「今来〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

今来の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
た。叔母はしばらく黙っていたが、やがて額で彼を見ながら、 「お絹《きぬ》ちゃんが今来るとさ。」と云った。 「姉さんはまだ病気じゃないの?」 「もう今日は好いんだ....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
る償いを見出したであろう。その上又例の「彼女の心」! 実際我我の愛する女性は古往今来飽き飽きする程、素ばらしい心の持ち主である。のみならず彼女の服装とか、或は彼....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
んです。得てこう云う時には死神が、とっ着きたがるものですからね。――そりゃそうと今来ているお客は、鍵惣《かぎそう》って云う相場師《そうばし》でしょう。ええ、私も....
婦系図」より 著者:泉鏡花
になったんだから、ここがちと言い憎いのだが、今云った、それ、膚合の合わない処だ。今来た、あの母親も、何のかのって云っているからな、もう彼家へは行かない方が可いぜ....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
井別邸の前、寄席のまえを過ぎて、見晴らし山というのに登った。半腹の茶店に休むと、今来た町の家々は眼の下につらなって、修禅寺の甍はさすがに一角をぬいて聳えていた。....
春昼」より 著者:泉鏡花
な、平な丘の上へ出ると、月は曇ってしまったか、それとも海へ落ちたかという、一方は今来た路で向うは崕、谷か、それとも浜辺かは、判然せぬが、底一面に靄がかかって、そ....
紅玉」より 著者:泉鏡花
思うそうだ。お互に見れば真黒よ。人間が見て、俺たちを黒いと云うと同一かい、別して今来た親仁などは、鉄棒同然、腕に、火の舌を搦めて吹いて、右の不思議な花を微塵にし....
古狢」より 著者:泉鏡花
だが、二三個処うつろに穴があいて、なぜか箪笥の抽斗の一つ足りないような気がする。今来た入口に、下駄屋と駄菓子屋が向合って、駄菓子屋に、ふかし芋と、茹でた豌豆を売....
露肆」より 著者:泉鏡花
ばじゃ、何事も別に話は起らんのじゃ、諸君。しかるに世間というものはここが話じゃ、今来たのは一名の立派な紳士じゃ、夜会の帰りかとも思われる、何分か酔うてのう。」 ....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
根気、大努力も決して算籌外には置かれないので、単にこの点だけでも『八犬伝』を古往今来の大作として馬琴の雄偉なる大手筆を推讃せざるを得ない。 殊に失明後の労作に....
式部小路」より 著者:泉鏡花
障子、今閉めたのを、及腰で差のぞき、 「可塩梅に帰りましたね。」 「誰さ。」 「今来やがった野郎でさ。」 これで分った。女房は頷いて、 「ああ、今の。何だろう....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
亭は博士を訪うて、果して私が憶測した通りな心持を打明けて相談したので、「内田君も今来て君の心持は多分そうであろうと話した」と、坪内博士が一と言いうと直ぐ一転して....
秋の修善寺」より 著者:岡本綺堂
井別邸の前、寄席のまえを過ぎて、見晴らし山というのに登った。半腹の茶店に休むと、今来た町の家々は眼の下に連なって、修禅寺のいらかはさすがに一角をぬいて聳えていた....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
の美しさは、比ぶるにものがない。前には常盤木の繁れる源氏山が聳えている。後の方は今来た道を、遠く富士が頂きを見せている。源氏山の中腹を過ぎると、早川に沿うた連嶺....
押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
来るのは父親の源治であつた。 源治のあとには、初世の紅い顔がのぞいていた。 「今来たよ」 はじけるようにふくらむ胸をおさえて、思わず知らず唸つた佐太郎の眼に....