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他家
「他家〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
他家の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
た、僕には、残忍なほど明確な決心があった。 それがために、しかしわが家ながら、
他家のごとく窮屈に思われ、夏の夜をうちわ使う音さえ遠慮がちに、近ごろにない寂しい....
「温情の裕かな夏目さん」より 著者:内田魯庵
はされなかったようである。その当時、私の家に来られたことがあるが、「一カ月ぶりで
他家を訪ねた」と言われた。その頃は多分痔を療治していられたかと想う。生れて初めて....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
院の敷地は総数五百五十坪で、高い板塀に囲まれた内部には診察室、薬局、院長夫妻その
他家人の起居する所謂母家と、くの字に折曲った一棟の病舎が百五十坪程の患者の運動場....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
に三味線は出来ませんもの、姉さん、」 と言が途絶えた。…… 「今しがたも、な、
他家のお座敷、隅の方に坐っていました。不断ではない、兵隊さんの送別会、大陽気に騒....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
、どうしたんですって聞いたんです。可哀相に……お稲ちゃんのお葬式が出る所だって、
他家の娘でも最惜くってしようがないって云うんでしょう。――そう云えば成程何だわね....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
した……何卒その頃の物語り丈は差控えさせて戴きます……。 大江家の一人娘が何故
他家へ嫁いだか、と仰せでございますか……あなたの誘い出しのお上手なのにはほんとう....
「母への追慕」より 著者:上村松園
薬師に移って、やはり葉茶屋をつづけながら私たちの面倒をみ、その年の秋に姉を立派に
他家へ嫁づけたのである。 母と私の二人きりの生活になると、母はなお一そうの....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
供があった。長男は十四歳で次の女の子は十二歳のはずだった。彼らは全く野獣化して、
他家の果樹へよじ登ったり、畑のものを失敬したりして生きていた。親戚で引き取っても....
「屏風祭」より 著者:上村松園
屏風祭が来るたびごとにのこのこ歩き廻っては、ずいぶんながいことかかって一枚一枚と
他家秘蔵の屏風絵を自分の薬籠に納めているわけである。 絵物語式の大屏風になると....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
でしたが、お媒酌人も、私どもの――先生です。前から、その縁はあるのですけれども、
他家のお嬢さん、毎々往来をしたという中ではありません。 清瀬|洲美さんというん....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
命も日南で、暑さに苦しい中に、陽気も元気もありました。身の上の事について、金石に
他家の部屋借をして、避暑かたがた勉強をしている、小学校から兄弟のように仲よくした....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
の裳を曳いて寝みだれ姿で寝床からと……その様子が、自分勝手の胸にあった。ただし、
他家様のお惣菜を、豆府殻、は失礼だ。 「たとえばです。」 「お好きか、なんぼなと....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
いのに、行為は極めて蓮葉で、真夏のごときは「おお暑い。」と云うと我が家に限らぬ、
他家でもぐるぐる帯を解く。「暑い、暑い。」と腰紐を取る。「暑いんだもの。」とすら....
「甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
ずその数を告ぐるがごとし。これ、あに怪事にあらずや。第二に、その声が他所もしくは
他家に起こりし出来事を察知して人に告ぐることあり。例えば、某家に今かくかくのこと....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
置きして、 「已に御承知の事でしょうが、話の順序として一応申上げます。私共夫婦は
他家から養子に参った者、当家は公高が継ぐはずでありましたが不幸にも十一才で行方不....