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他郷
「他郷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
他郷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
たいという子供じみた考えのほかには、おかしいほどそのほかの興味を失ってしまって、
他郷の風景に一|瞥《べつ》を与える事もいとわしく、自分の部屋の中にこもりきって、....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
もらと同じである、姉夫婦もさあさあとしたくをしてくれる。車屋が来たという。二十年
他郷に住んだ予には、今は村のだれかれ知った顔も少ない。かくて紅黄の美しいりぼんは....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
手気ままな事が感ぜられる気がする。何ゆえに花をそのふるさとから連れ出して、知らぬ
他郷に咲かせようとするのであるか。それは小鳥を籠に閉じこめて、歌わせようとするの....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
けだし、そのたぐいであろう。 滴血 晋の人でその資産を弟に托して、久しく
他郷に出商いをしている者があった。旅さきで妻を娶って一人の子を儲けたが、十年あま....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
や、お持ちなされまして……お代はおついでの時、)……はどうだい。そのかわり、遠国
他郷のおじさんに、売りものを新聞づつみ、紙づつみにしようともしないんだぜ。豈それ....
「河霧」より 著者:国木田独歩
力を尽くした日の方が、今の安息無事よりも願わしいように感じた。 かれは思った、
他郷に出て失敗したのはあながちかれの罪ばかりでない、実にまた
他郷の人の薄情きにも....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
十二代の後裔だというのであった。平家の落武者がこの里に隠れ住む事|歳久しく、全く
他郷との行通を絶って、桃源武陵の生活をしていたのだけれど、たまたま三面川に椀を流....
「米」より 著者:犬田卯
弟の三人のものが惨めな境涯に陥ちたことであったろう。そのため家を飛び出した長兄は
他郷に死し、祖父母の許にあって成育した彼女と弟とのみが、辛うじて一人前になったが....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
ても俺にもそんな話はしないが、俺はこのごろになってようよう、彼がああして家を出て
他郷で商売をする気になった心持が解ったよ。彼は老父たちにさえそうした疑念を抱かせ....
「間人考」より 著者:喜田貞吉
地を有せざるものに「亡土」とはよく宛てたものである。これら間人百姓の中には、勿論
他郷より流寓した所謂|来り人の徒であって、他人の田地を小作していたものも交ってい....
「女の決闘」より 著者:オイレンベルクヘルベルト
、女房はそれを見ておののき恐れた。譬えば移住民が船に乗って故郷の港を出る時、急に
他郷がこわくなって、これから知らぬ新しい境へ引き摩られて行くよりは、むしろこの海....
「彼等流浪す」より 著者:小川未明
る人間であるかぎり、自然発生的に、その村に結ばれた習慣があり、掟がある。そして、
他郷に見られない、自からの扶助が行われている筈である。かゝる村落自治こそ、思い出....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
たものが甚だ多かった。その中には、地方官の悪政の結果として、その誅求に堪え兼ねて
他郷に逃亡したものが、平安朝にはことに多かったのである。もちろんこの以外に、犯罪....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
証明を与うるところである。弘仁五年の飛騨の国解によると、飛騨人が「課役を規避して
他郷に庸作し、年を積んで帰るを忘れ――其の苦に堪へずして逃去する者多く、遂に父子....
「融和問題に関する歴史的考察」より 著者:喜田貞吉
なく安穏に郷里で生活しうるほどのものが、そんな時代にわざわざ郷里を離れて、知らぬ
他郷に流寓するはずもないのですから、来り人とあってはどうで碌なものでないと思われ....