代赭[語句情報] » 代赭

「代赭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

代赭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
少年」より 著者:芥川竜之介
泥色《どろいろ》をしている。いや、ぬかるみのたまり水よりも一層|鮮《あざや》かな代赭色《たいしゃいろ》をしている。彼はこの代赭色の海に予期を裏切られた寂しさを感....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
に思われるのだった。ともあれ私達は急がねばならない。 やがて私達は石ころの多い代赭色の、美しい岬の坂道にかかった。ちょうど日曜日で久々に訪ねてくれた水産試験所....
雛妓」より 著者:岡本かの子
りめんのごりごりした地へもって来て、中身の肉体を圧倒するほど沢瀉とかんぜ水が墨と代赭の二色で屈強に描かれている。そしてよく見ると、それ等の模様は描くというよりは....
田舎教師」より 著者:田山花袋
驚き立った。楢や栗の葉はまったく落ちつくして、草の枯れた利根川の土手はただ一帯に代赭色に塗られて見えた。田には大根の葉がひたと捨てられてあった。 月の中ごろに....
病室の花」より 著者:寺田寅彦
て、室のすみの洗面台にのせた。同じ日に甥のNが西洋種の蘭の鉢を持って来てくれた。代赭色の小鉢に盛り上がった水苔から、青竹箆のような厚い幅のある葉が数葉、対称的に....
三斜晶系」より 著者:寺田寅彦
るかの向こうに群青色の山々が異常に高くそびえ連なっている。山々の中腹以下は黄色に代赭をくま取った雲霧に隠れて見えない。すべてが岩絵の具でかいた絵のように明るく美....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
み、南の山の端には白雲の顔を覗けるを見る。向こうの松林には日光豊かに洩れ込みて、代赭色の幹の上に斑紋を画き、白き鳥一羽その間に息えるも長閑なり。藍色の空に白き煙....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
いめい勝手にわが欲するがままに背を伸ばし、手を振りかざしている。全体として緑青と代赭との塊りとしか見えない松木立も、そのなかに入ってよく見ると、それぞれの樹が性....
楢重雑筆」より 著者:小出楢重
調が、どうも卑しくなりますから、日本画用の、胡粉、朱、白緑、白群青、群青、黄土、代赭等を使用するのが、最もいいようです、右を充分|乳鉢で摺って用います。(金銀泥....
枯菊の影」より 著者:寺田寅彦
みたい、新聞雑誌の挿画でも何でも彩色してみたい。彩色と云っても絵具は雌黄に藍墨に代赭くらいよりしかなかったが、いつか伯父が東京博覧会の土産に水彩絵具を買って来て....
浅間山麓より」より 著者:寺田寅彦
顔付が見えるようである。 帰りに、峰の茶屋で車を下りて眼の上の火山を見上げた。代赭色を帯びた円い山の背を、白いただ一筋の道が頂上へ向って延びている。その末はい....
無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
きさも、形もよくにた海がめにアカウミガメというのがある。これは、からだが、うすい代赭色で、甲は褐色であるからだ。アカウミガメの肉は、においがあって、食用にならな....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
てはかつて前方ダンチョンと一緒に道に迷って来た事があった。そしてその時私は見た!代赭色をした平原を! その代赭色の沙漠の中に一筋堤防のあったことを! そして堤防....
古い記憶を辿って」より 著者:上村松園
がごつくなっているとおもいます。 〈法塵一掃〉は墨絵で、坊さんの顔などは、うすい代赭で描かれていました。尤も顔の仕上げばかりではなしに、一体にうすい絵でした。こ....
くちこ」より 著者:北大路魯山人
の中間ぐらいの淡紅色で、この種のものの中で一番感じがよい。乾燥したものはいくぶん代赭色に近い。生の香りは、妙にフランスの美人を連想するような、一種肉感的なところ....