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仮小屋
「仮小屋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
仮小屋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
い空に望みながら、同僚の一人二人と一しょに、やはり一ひしぎにつぶされた学校の外の
仮小屋で、炊き出しの握り飯を手にとった時とめどなく涙が流れた事は、未だにどうして....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
は近村からさえ見物が来たほど賑《にぎ》わった。丁度農場事務所裏の空地《あきち》に
仮小屋が建てられて、爪《つめ》まで磨き上げられた耕馬が三十頭近く集まった。その中....
「蘭学事始」より 著者:菊池寛
やがて、六人は打ち連れて、観臓の場所へ行った。 刑場の一部に、蓆をもって粗末な
仮小屋が設けられていた。手《しゅ》医師の何某《なにがし》が、三人の小吏と、二人の....
「熊の出る開墾地」より 著者:佐左木俊郎
業《よなべ》の淡い灯火《あかり》の余光が洩れていた。十何年を経ても、彼等は最初の
仮小屋の中に夜業を続けなければならなかった。十何年前に変わらない雨ざれた小屋は、....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
、旧幕以来、こういう災害のあとには金魚は必ず売れたものである。荒びすさんだ焼跡の
仮小屋の慰藉になるものは金魚以外にはない。東京の金魚業一同は踏み止まって倍層商売....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
、わざと俳優に三国志の演劇を演じさせると、たちまちに狂風どっと吹きよせて、演劇の
仮小屋の家根も舞台も宙にまき上げて投げ落したので、俳優のうちには死人も出来た。 ....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
かくも商売をはじめるようになったので、主人や店の者は日本橋へ戻りましたが、焼跡の
仮小屋同様のところでは女子供がこの冬を過されまいというので、主人の女房や娘子供は....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
落ちた土蔵のそばだ。木小屋を裏へ通りぬけると、暗いほど茂った竹藪がある。その辺に
仮小屋を造りつけ、戸板で囲って、たいせつな品だけは母屋の方から運んで来てある。そ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
たところにそれができ、足場のなかったところにそれがかかっていた。そこにもここにも
仮小屋の工事が始まって、総督の到着するまでにはどうにか宿場らしくしたいというその....
「転機」より 著者:伊藤野枝
彼等はあくまで反抗する気で、そこに再び自分達の手でやっと雨露をしのげるくらいの
仮小屋を建てて、どうしても立ち退かなかった。もちろん、下げ渡されるはずの買収費を....
「小唄のレコード」より 著者:九鬼周造
んは黙ってじっと下を向いていた。私はここにいる三人はみな無の深淵の上に壊れやすい
仮小屋を建てて住んでいる人間たちなのだと感じた。 私は端唄や小唄を聞くと全人格....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
観世物小屋は、あとも留めずなりて、東警察とか云うもの出来たり。 一座が掛りたる
仮小屋は、前に金魚養いし女房の住みたる家のあとを、その隣、西の方、二軒ばかり空地....
「食堂」より 著者:島崎藤村
、震災の名残はまだ芝の公園あたりにも深かった。そこここの樹蔭には、不幸な避難者の
仮小屋も取払われずにある。公園の蓮池を前に、桜やアカシヤが影を落している静かな一....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
い、竹籠のようになっていた。住持の透鱗はじめ僅かばかりの寺の人数は裏の竹藪の中に
仮小屋を作りうずくまって住んでいた。慧鶴を心配して様子を見に来たり
仮小屋へ連れ込....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
の設備が整っておらぬ。公用を以て旅行するものは駅に宿し、身分のよい者ならば臨時に
仮小屋を構えて宿泊する。普通の人は、知音を尋ね、或いは人の好意によって、宿を貸し....