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仮睡
「仮睡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
仮睡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
人のように冷えきって、泣きながらも葉子はどうかするとふっと引き入れられるように、
仮睡に陥ろうとした。そうしてははっと何かに驚かされたように目を開くと、また底の知....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
い失念してしまったと見え、その二重瞼の美しい目を半眼に閉じながら、うつらうつらと
仮睡に落ちようとしている。 じっと、その面を見ていると、忠直卿は、また更に新し....
「地球を狙う者」より 著者:海野十三
星の秘密を頭のなかで復習を始めた。だがそのうちにいつとなく睡気を催し、うとうとと
仮睡《かりね》にはいったのであった。 どのくらい睡ったのかしらぬが、ふとなにか....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
はございませんわ。第一、昨夜は眠らなかったとは思っていますけれども、その側から、
仮睡ぐらいはしたぞと囁いているものがあるのです」
「なるほど、これも同じことです....
「狐の手帳」より 著者:田中貢太郎
で老婆はお滝の体の工合を聞こうと思って室の中へ入った。室の中ではお滝が肘枕をして
仮睡をしていた。老婆は吃驚させないように小さな声で云った。 「もし、もし、お媽さ....
「申陽洞記」より 著者:田中貢太郎
して妖怪もいそうにないので、矢を著けた妖怪は朝になって探すことにして、下へおりて
仮睡に就いた。 朝になった。冷たい霧が朝風に吹かれて切れ切れになって飛んで往っ....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
突っ込んだ通りだ。而して暑さに蒸れ切った空気と、夜よりも暗い暗闇とは、物恐ろしい
仮睡に総ての人を誘うのである。敲いて居る中に気が遠くなって、頭と胴とが切り放され....
「義猫の塚」より 著者:田中貢太郎
それから十年してのことであった。それは春のことであったが、其処の寺男が縁側で
仮睡をしていると、小さなみゃあみゃあと云うような変な話声が聞えて来た。 「いい陽....
「温浴」より 著者:坂口安吾
灯がないので、ほかの部屋からの光で間に合せ、かすかに光のさす湯槽では、まったく、
仮睡状態になるときがあった。インシュリンや電気ショック療法のなかった一昔前の精神....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
らしい。あちこちに置かれた玻璃の道具、錫の食器、青磁の瓶――燈火の点かない一刻を
仮睡の夢でも結んでいるように皆ひそやかに静まっている。 月はもう空に懸かっては....
「多神教」より 著者:泉鏡花
ちて、機織の真似し、次第に聞惚れ、うっとりとなり、おくれ毛はらはらとうなだれつつ
仮睡る。) 仕丁 (揚幕の裡にて――突拍子なる猿の声)きゃッきゃッきゃッ。(乃ち....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
儀よく坐って、艶々しく結った円髷の、その斑布の櫛をまともに見せて、身動きもせずに
仮睡をしている。 差覗いてすっと身を引き、しばらく物音もさせなかったが、やがて....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
て、そこへ、一人で膳を構えて、こつねんと前刻から一人で、一口ずつ飲んで、飲んでは
仮睡をするらしかったが、ごッつり布子で、この時である。のこのこと店へ出て、八郎と....
「春心」より 著者:田中貢太郎
た。広巳は急いで老人の前へ往った。 「爺さん」 老人の眼はつむれていた。老人は
仮睡をしているところであった。 「おい、爺さん」 老人は吃驚したように眼を開け....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
が目前をぐるぐる廻っている、快い草の香が頻りに鼻を襲うて来るまでは覚えていたが。
仮睡の夢からさめて筋を抜かれたようにだるい体を、幅の広い急な雪の上を運びながら、....