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仲秋
「仲秋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
仲秋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
の下を大川筋へ出て見ますと、大きく墨をなすったような両国橋の欄干《らんかん》が、
仲秋のかすかな夕明りを揺《ゆらめ》かしている川波の空に、一反《ひとそ》り反《そ》....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
1 その第二十五番てがらです。 事の起きたのは
仲秋|上浣《じょうかん》。 鳶《とび》ノ巣山《すやま》初陣《ういじん》を自慢の....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
地峡に関する概述的な記述を急ぎ、この序篇を終りたいと思うのである。事実、晩春から
仲秋にかけては、その原野の奥が孤島に等しかった。その期間中には、一つしかない小径....
「高島異誌」より 著者:国枝史郎
て春去り夏来たり、その夏も去って凉風の吹く秋の季節とはなったのである。 それは
仲秋三五の月が、玲瓏たる光を地上に投げ薄尾花の花の蔭で、降るように虫の鳴きしきる....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
こ》んだろうことは察するに余りある。これは八月十七日の事と云われている。 丁度
仲秋の十六夜の後一日である。秋は早い奥州の会津の城内、氏郷は独り書院の柱に倚《よ....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
歳位であった頃の記憶によると、私は母や女中たちとともに、それは盆の満月だったか、
仲秋の明月だったかを忘れたが、まだ多少暑い頃だったが、その明月の夜に道頓堀川へ眼....
「死者の書」より 著者:折口信夫
が、いとおしくてたまらぬのであった。 昼の中多く出た虻は、潜んでしまったが、蚊は
仲秋になると、益々あばれ出して来る。日中の興奮で、皆は正体もなく寝た。身狭までが....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
! 乾坤別有天。いずこともなく、天|麗かに晴れて、黄昏か、朝か、気|清しくして、
仲秋のごとく澄渡った空に、日も月の形も見えない、たとえば深山にして人跡の絶えたる....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
いに、ツツウと刻みあし! 迫ると見れば停止し、寂然《じゃくねん》たることさながら
仲秋静夜の湖面。
夕まけて戸内の剣闘《けんとう》。
灯りが何よりの命とあって....
「わが戦争に対処せる工夫の数々」より 著者:坂口安吾
臥龍先生に就いて熱弁を弄したのは云ふまでもない。檀一雄が感動したのは論外で、彼は
仲秋名月を松島まで出かけて眺めるやうな奇妙に古風な男だから、かういふ千古の美談佳....
「伯林の落葉」より 著者:岡本かの子
、彼は、彼の恋人のその宣言のような手紙を受取って読んだ瞬間つと立ち出でて、伯林の
仲秋の街路へ出たのか彼にもはっきり判らなかった。そして、その時、殆ど何ものかに教....
「地上」より 著者:島田清次郎
勝ち得る者は平一郎より外にない!) 第六章 粛然とした闇の夜である。
仲秋近い真夜中の冷気は津々と膚に寒い。暗い地上の物象は暗に吸い込まれて、ただ夜露....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
を版にしたのを幾冊か持って来たことがあり、その一冊もいただきましたが焼きました。
仲秋の名月の頃、月見に連れて行こうと仰しゃって、お嬢さんとも御一緒にお供をしまし....
「中支遊記」より 著者:上村松園
上海にて
仲秋まる一ヵ月の旅であった。六十有余年のこの年まで十日以上にわたる旅行はしたこと....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
を戴いて猶食し得るものが多い。初茸、シメジ、獅子茸の類は初秋のものに属し、椎茸は
仲秋(椎茸は総じて秋季に生ずるものにめざましいものは少く、却って春季に生ずるもの....