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伸びる
「伸びる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
伸びるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
》けぎらいらしい気象とがほとばしってはいたけれども、じじむさい顎《あご》ひげと、
伸びるままに伸ばした髪の毛とで、葉子でなければその特長は見えないらしかった。倉地....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
で舞っている。ひらひら、ちらちらと羽が輝いて、三寸、五寸、一尺、二尺、草樹の影の
伸びるとともに、親雀につれて飛び習う、仔の翼は、次第に、次第に、上へ、上へ、自由....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
とそこにははっきりと鍵から抜けだした横顔の女が現われた。「これが結えるくらい髪が
伸びるのを待って、君と僕との盛大な結婚式をあげようね」....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
声をきくと、莞爾とほほえんだ。 「いいこと!」 紅子のしなやかな腕がグッと前に
伸びる。キラリとピストルの腹が光って、引金がカチリと引かれた。 「ズドーン!」 ....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
「だが、どうも感心できん」別府将軍は、トンと卓子を叩いた。「こうなると、戦線が
伸びるばかりで、結局要領を得にくくなる。杭州や寧波などに、米軍がいつまでも、のさ....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
ら、こんどは横向きに、籠のようなものが伸びてきたではないか」 「あッ。ほんとだ」
伸びるのがとまった塔のてっぺんは、すこしふくれていたが、そこから籠のようなものが....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
息がむッと掛る。堪らず袖を巻いて唇を蔽いながら、勢い釵とともに、やや白やかな手の
伸びるのが、雪白なる鵞鳥の七宝の瓔珞を掛けた風情なのを、無性髯で、チュッパと啜込....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
を背後にした仄白々とある行燈。 楽書の文字もないが、今にも畳を離れそうで、裾が
伸びるか、燈が出るか、蚊帳へ入って来そうでならぬ。 そういえば、掻き立てもしな....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
、天狗の撞木杖といった形に見える、柱が一本。……風の吹まわしで、松明の尖がぼっと
伸びると、白くなって顕れる時は、耶蘇の看板の十字架てったやつにも似ている……こり....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
移すと、幾筋も、幾筋も、ひょろひょろと燃えるのが、搦み合って、空へ立つ、と火尖が
伸びる……こうなると可恐しい、長い髪の毛の真赤なのを見るようですぜ。 見る見る....
「露肆」より 著者:泉鏡花
した途端に、居合わせた娘の姿を、男とも女とも弁別える隙なく、馴れてぐんなりと手の
伸びるままに、細々と煙の立つ、その線香を押着けたものであろう。 この坊様は、人....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
す。本来あれがあればこそ大官になれるんですが、今となっては仕方がありません。長く
伸びるのを待つばかりです」 さはいえ阿Qは承知せず、一途に彼を「偽|毛唐」「外....
「髷」より 著者:上村松園
にして、髪をあっちへ曲げ、こっちへねじていじめつける故で、ああいじめつけては髪は
伸びるどころか縮むばかりである。 もっとも、今の若いひとは、わざわざ電気をかけ....
「山吹」より 著者:泉鏡花
りました。貴方が御結婚を遊ばして、あとまる一年、ただ湧くものは涙ばかり、うるさく
伸びるものは髪ばかり。座敷|牢ではありませんが、附添たちの看護の中に、藻抜のよう....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
墓へ入口の、やや同じたけの松の根に、ちょっと蟠って高いから――腰を掛けても足が
伸びるのに、背かがみになった膝に両手を置いて、多津吉は凝と視ていた。 洋杖は根....