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佃
「佃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
佃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
憎まれる方がおれはうれしいよ。好かれるためなら、何も二百万円君に貸すもんか。女は
佃煮にするくらいいる。東京では紅茶一杯の女もいるということやが、女の地位は上った....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
台無しだと思いながら、豹一は赤井のあとについて、隅のテーブルに腰掛けた。たにしの
佃煮と銚子が来ると、赤井は、 「君飲めるだろう?」と、盞を渡した。 「うむ」と曖....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
があって、うわべは堅気の町人のように見せかけながら、手下の船頭どもを使って品川や
佃の沖のかかり船をあらしていた。時には上総房州の沖まで乗り出して、渡海の船を襲う....
「三角形の恐怖」より 著者:海野十三
八年前の今日のことだ。いつもはわざと住居から遠くはなれて秘密な恋を味い喜んだあの
佃島で私ははっきり切れ話を持ち出した。時子の慨きがどんなであったか、それは想像に....
「河明り」より 著者:岡本かの子
の台を崩して、その土で埋めて慥えたものである。それより七八十年前は浅草なぞは今の
佃島のように三角洲だった。 こういう智識もその若い学者から学ぶところが多かった....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
といえども、この俺より強い者に一人も出会わなかったとは、はてさて弱い奴ばかしが、
佃煮にするほどおったものだわい」 と、歩き方も変って来たが、しかし、帰りの道を....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
ど軒並みに瀬戸物屋で、私の奉公した家は、平野町通りから二三軒南へはいった西側の、
佃煮屋の隣りでした。 私は木綿の厚司に白い紐の前掛をつけさせられ、朝はお粥に香....
「髪」より 著者:織田作之助
義に忠実な所以だとしている阿呆であった。 この阿呆をはじめとして、私の周囲には
佃煮にするくらい阿呆が多かった。就中、法科志望の点取虫の多いのには、げっそりさせ....
「武田麟太郎追悼」より 著者:織田作之助
まい)そして、見つけたのは「武田麟太郎三月卅一日朝急逝す」 死んでもいい人間が
佃煮にするくらいいるのに、こんな人が死んでしまうなんて、一体どうしたことであろう....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
、やっぱり八幡様のお引合せとでも言うんだろう。実はね、横浜からこちらへ来るとすぐ
佃へ行って、お光さんの元の家を訪ねたんだ。すると、とうにもうどこへか行ってしまっ....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
いった方がいいくらいだ。しかし、耳かきですくうような、ちっぽけな出来事でも、世に
佃煮にするくらい多い所謂大事件よりも、はるかにニュース的価値のある場合もあろう。....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
り起す。 一行三人の乗合で端に一人|仰向けになって舷に肱を懸けたのが調子低く、
佃々と急いで漕げば、 潮がそこりて艪が立たぬ。 と口吟んだ。 けれども実....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
ゅう附け廻すんだそうですから、私あ堪らなくなって、舟賃を一銭出して、川尻を渡って
佃島へ遁げました。
佃島には先生、不孝者を持って多いこと苦労をする婆さんが一人....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
いて出た蚰蜒じゃありません。十月腹を貸した母親がありましてね。こりゃ何ですって、
佃島の弁天様の鳥居前に一人で葦簀張を出しているんですって。 冬枯れの寒さ中毒で....
「芝、麻布」より 著者:小山内薫
通うようになってからであった。 私が下町の放浪生活をやっている時代であった。新
佃島の海水館という下宿に、ただ一人で寝起をしていた頃、或日、永井荷風君から電話が....