» 佇む

「佇む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

佇むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
活人形」より 著者:泉鏡花
帰りつ。表二階にて下男を対手に、晩酌を傾けおりしが、得三何心無く外を眺め、門前に佇む泰助を、遠目に見附けて太く驚き、「あッ、飛んだ奴が舞込んだ。と微酔も醒めて蒼....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
よ戦列につきましたわい、はははは」といっているようだ。 坂下へおりて、停留所に佇む。とたんにラジオが警報を伝える。伊豆地区に警戒警報が出たらしい。 折柄、電....
十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
4 約束のとおり、ちょうど二十時であった。 アロアア区の戸口に佇む一個の人影があった。長身のすっきりした男性だった。 表札には「ミルキ夫人」....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
いて、すぐ鉄道馬車の客となった。今にも毀れそうな馬車だ。馬は車に馴れず、動かじと佇むかと思うと、また俄かに走り出す。車の右は西山一帯の丘陵で、その高低|参差たる....
土曜夫人」より 著者:織田作之助
円山公園を抜けると、高台寺の方へ折れて行った。 三条大橋、四条大橋、円山公園に佇む女は殆んどいかがわしい女ばかりだ――と、噂にもきき、目撃もして来たから、すぐ....
四つの都」より 著者:織田作之助
つる。 その向うに、雨に濡れた顔、新吉だ。 葉子「まあ、新ちゃん!」 雨の軒下に佇む新吉のおろ/\した姿。 葉子が扉の向うまで来る。 五一 名曲堂の奥座敷。 鶴....
わが町」より 著者:織田作之助
がしびれた。 「ああ、辛度オ」 思わず溜息が出て、日傘をついて、ふと片影の道に佇む、――しかし、そんな時、君枝をはげますのは、 「人間はからだを責めて働かな嘘....
わが町」より 著者:織田作之助
疲れるのだ。 「ああ、辛度オ」 思わず溜息が出て、日傘をついて、ふと片影の道に佇む。しかし、そんな時、君枝をはげますのは、偶然町で出会う他吉の姿であった。 ....
勝太郎」より 著者:兼常清佐
こんな事である。「一番漁した優勝旗」という大漁節もあまり聞かないし、「橋の欄干に佇むルンペン」という詩吟もあまりいい気持はしない。『佐渡おけさ』や『追分節』は大....
真田幸村」より 著者:菊池寛
前勢の大軍が粛々と進んだ。 が、まだ暗かったので、越前勢は河の深浅に迷い、畔に佇むもの多かった。大将修理亮は「河幅こそ広けれ、いと浅し」と言って、自ら先に飛込....
祇園の枝垂桜」より 著者:九鬼周造
な全身に浴びている。美の神をまのあたり見るとでもいいたい。私は桜の周囲を歩いては佇む。あっちから見たりこっちから見たり、眼を離すのがただ惜しくてならない。ローマ....
染吉の朱盆」より 著者:国枝史郎
端、 「御用!」 捕手だ! 上がったは十手! 武士、ちっとも驚かなかった。佇むとポンと胸を打った。 「へ――」 と捕方平伏した。 「半刻あまりそこにいろ....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
もつれず、一人でこうやって訪ねて来たのは、密命を持っているからであった。 庭に佇むと右近丸はまず見廻したものである。 「春の花が妍を競っている。随分たくさん花....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
らざるを得なかった。さて元の場所へ帰っては来たが、新たにとるべき手段はない。茫然佇むばかりであった。勇気も次第に衰えて来た。だがこのまま佇んでいたのでは、遁がれ....
老中の眼鏡」より 著者:佐々木味津三
やかに近づいていった。近づいて這入りでもするかと思われたのに、三人はそこの小蔭に佇むと、遠くから客の在否を窺った。 しかし居ない。 刻限も丁度頃なら、場所も....