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低声
「低声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
低声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高野聖」より 著者:泉鏡花
ゃないか。)
としばらく経って二度目のははっきりと清《すず》しい声。
極めて
低声《こごえ》で、
(お客様があるよ。)といって寝返る音がした、更《さら》に寝返....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
「奥様、魚屋が参りました。」 「大きな声をおしでないよ。」 とお蔦は振向いて
低声で嗜め、お源が背後から通るように、身を開きながら、 「聞こえるじゃないか。」....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
な。 下さいな。――」 真の心は、そのままに唄である。 私もつり込まれて、
低声で唄った。 「ああ、ありました。」 「おお、あった。あった。」 ふと見つけ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
て坐った。 (あの娘で可いのかな、他にもござりますよって。) と六畳の表座敷で
低声で言うんだ。――ははあ、商売も大略分った、と思うと、其奴が (お誂は。) ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
。 饂飩屋は吃驚の呼吸を引いて、きょとんとしたが 「俺あ可厭だぜ。」と押殺した
低声で独言を云ったと思うと、ばさりと幕摺れに、ふらついて、隅から蹌踉け込んで見え....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
(やあ、つい麁※を。) と、何事も御意のまま、頭をすくめて恐縮をしますとね、
低声になって気の毒そうに、 (でも、あの、そういう私が、密と出して、見たいんでご....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
しても可いから、もうちと辛抱なさいよ。」 「お稲さん。」 「ええ。」となつかしい
低声である。 「僕は大空腹。」 「どこかで食べて来た筈じゃないの。」 「どうして....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
、森として、樹の枝に鳥が塒を蹈替える音もしない。 「跟いておいで、この中だ。」と
低声でいった滝太郎の声も、四辺の寂莫に包まれて、異様に聞える。 そのまま腰を屈....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
七郎は、強情、我慢、且つ執拗な小按摩を見棄てて、招かれた手と肩を合せた、そうして
低声をかわしかわし、町の祭の灯の中へ、並んでスッと立去った。 「ぴい、ぷう。……....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
くみじかい指で、黄金の指環の太いのをはめている。 手にも取らないで、口のなかに
低声におよみなすったのが、市内衛生会委員、教育談話会幹事、生命保険会社社員、一六....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
として思いかえして行く老人あり、振りかえりながら「死して再び花は咲かず」と俚歌を
低声に唄うて暗に死をとどむる如く誡め行く職人もあり。老婆などはわざわざ立かえりて....
「寡婦」より 著者:秋田滋
その静かな心を乱された、でッぷり肥った一人の猟人が、隣にいた男の耳に口を寄せて、
低声でこう云った。 「せんちめんたるもあすこまで行くと不幸ですなあ!」....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
貴方御免なさいよ。」といって座に着いた。 「灯をね、」と顔をさし寄せて、令夫人は
低声でいう。 夕暮の徒然、老母も期せずしてこの処に会したので、あえて音楽に関し....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
どこの野良猫だ、ニャーフウー」 一杯に頬を膨らし、呻って啼真似をすると、ごく
低声、膳の上へ頤を出して、 「へい、ですかい屑屋ですかい。お待ちなせえ、待ちねえ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
えば、訝かしげに泰助の顔を凝視しが、頬の三日月を見て慇懃に会釈して、二階を教え、
低声にて、「三番室。」 四番室の内に忍びて、泰助は壁に耳、隣室の談話声を聞けば....