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低調
「低調〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
低調の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
うかと、自分ながら掛念《けねん》しているくらいである。「思い出す事など」は平凡で
低調な個人の病中における述懐《じゅっかい》と叙事に過ぎないが、その中《うち》には....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
かった。そのときはもう全世界が深い絶望感に捉われていて、またしても対策案かという
低調な態度でこれを眺めたからであった。 そのアンダーソン教授の研究というのは、....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
全組とは別歩調にて文相へ「六百円最低承認に欺瞞あり」と申入れたる由。生産いよいよ
低調。政治家はいないのか。憂国の士はいないのか。 ◯「狐塚事件」という小説を、も....
「縮図」より 著者:徳田秋声
いながら、幾分光りが差して来た。進歩的な両性の社交場がほかに一つもないとすれば、
低調ながらも大衆的にはこんなところも、人間的な一つの訓練所ともならないこともなか....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
だ。ここには素人の真似の出来ない職業的訓練があるのである。そして実際、こうやって
低調ながら職業的持続を持ち応えて行ける者は、持ち応えている内にいつかは又いつの間....
「光と風と夢」より 著者:中島敦
いたが、今度こそ最後迄続け得る見込がある。「難破船引揚業者《レッカー》」は余りに
低調だった。(尤《もっと》も、割に良く読まれているというから不思議だが)「デイヴ....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
とも普遍的なテーマでも掴えようとすると、却って文学的作文や身辺雑記と云ったような
低調な一種の創作に変質して了うし、それでなければ他方に於てただの印象批評の範疇を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
り渡り者のマドロス上りだから、高尚な音楽の趣味があるはずはないけれども、粗野と、
低調ながら、異国情調を漂わせて見せるだけは本物です。 これがもゆる子の拗《す》....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
の弛んだ手で、その口許を蔽いながら、 「おい、おい。」 寝た人には内証らしく、
低調にして小児を呼んだ。 「おい、その兄さん、そっちの児。むむ、そうだ、お前達だ....
「風俗時評」より 著者:豊島与志雄
るのではなく、そういう感を受取るものらしい。そして彼等のうちには、おそろしく平凡
低調な善良さだけがあり、そこに生活的ルンペン性がひそんでいる。 都市の中心から....
「調査機関」より 著者:中井正一
、魂はない。科学的調査に立脚して政治なり事業経営なりをおこなうという空気は、まだ
低調である。それを立証する最も端的な証拠は、予算縮減の際には真先に調査研究費が削....
「現代茶人批判」より 著者:北大路魯山人
ないのである。 それが平気で茶道精神より脱線し、逸脱し、怪しき見解、妄りにして
低調なる行動を常として、なすところの所作は一から十までが嘘のかたまりであり、虚礼....
「良寛様の書」より 著者:北大路魯山人
ことである。徳川末期は芸術のなさけないまでにしなびてしまった時であって、きわめて
低調な書画彫刻をもって充たされ、鑑賞力もいやが上に低落し、江戸前的民衆芸術に浮身....
「家庭料理の話」より 著者:北大路魯山人
から、料理道という「道」とのかかわりはない。すべて出鱈目だ。思いつきがあっても、
低調で話にならない。正しい責任を持たない。鋭い五官などは働いていない。 第一、....
「味を知るもの鮮し」より 著者:北大路魯山人
はない。いかなる家庭に育った人たちか、どんな料理経歴をもつ人々なるか、いずれもが
低調な料理職人から学んだであろうことが、ほぼ察し得られるゆえに、生きた資材も、い....