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「何処やら〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

何処やらの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
た。他の一人は二十七八歳で、色の白い、人品のよい男であった。その面《おも》ざしの何処やら似ているのを見ると、あるいは兄弟か叔父甥などでは無いかという説もあったが....
蠅男」より 著者:海野十三
ネ。ひどいネ」 「さあ何処やろかしらんいうて、いま相談してまんねけれど、ハッキリ何処やら分らしめへん。――お客さん、これ何の臭や、分ってですか」 「さあ、こいつ....
とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
のは、こんな場合いつでもする様に、杉本は機関車の下ッ腹へ水を引ッ掛けながら、さて何処やらに若い娘のキモノでも絡まり込んでいないかなと注意して見たんです。が、轢死....
名人長二」より 著者:三遊亭円朝
居ります。年は四十の上を余程越して、末枯れては見えますが、色ある花は匂失せずで、何処やらに水気があって、若い時は何様な美人であったかと思う程でございますが、来る....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
の夕風がさ/\尾花を揺する野路を、夫婦は疲れ足曳きずって甲州街道を指して歩いた。何処やらで夕鴉が唖々と鳴き出した。我儕の行末は如何なるのであろう? 何処に落つく....
浮雲」より 著者:二葉亭四迷
引の色を帯びて、眼元にはホンノリと紅《こう》を潮《ちょう》した塩梅《あんばい》、何処やらが悪戯《いたずら》らしく見えるが、ニッコリとした口元の塩らしいところを見....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
置かれてあった。客が従者に吊らせて来て此処へ餉ったものに相違無い。 突然として何処やらで小さな鈴の音が聞えた。主人も客も其の音に耳を立てたというほどのことは無....
明治美人伝」より 著者:長谷川時雨
は争われない。ある夜、外堀線《そとぼりせん》の電車へのった時に、美女ではあるが、何処やら年齢のつろくせぬ不思議な女が乗合わせた、と顔を見合わした時に、彼女はそれ....
曠野」より 著者:堀辰雄
どあるかないかに臥せっていた。 そのうちに女は不意といぶかしそうに身を起した。何処やらで自分の名が呼ばれたような気がした。女の心はすこしも驚かされなかった。そ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の大きな御殿と言った感じ、つまり人間味が、たっぷりしているのでございます。そして何処やらに唐風なところがあります。先ずその御門でございますが、屋根は両端が上方に....
田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
すれば、こじつけられないこともない。 写真も古い『文芸倶楽部』に出ていたのは、何処やら野暮くさいが、二十三の春にうつした婚礼の丸髷のは、聡明で、しとやかで、柔....
芳川鎌子」より 著者:長谷川時雨
に比較したばからしさだ。平静な時は読書に一日を費しているが、挙措《きょそ》動作が何処やら異っているので警戒しなくてはならないと見られた。 一年はたった。鎌子は....
環礁」より 著者:中島敦
さんの所の礼拝堂から洩れてくる夕べの讃美歌である。 夜。月が明るい。道が白い。何処やらで単調な琉球蛇皮線《りゅうきゅうじゃびせん》の音がする。ブラブラと白い道....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
其火に対って孑然と胡坐を掻いているのは、二十歳ばかりの極めて小作りの男であった。何処やらで滝の音が聞えて、石燕が窟の前を掠めて飛んだ。男は燃未了の薪を把って、鳥....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ング、ロウリング。」と、ある少年は両手と両足とを思うさま踏鳴らして舞って廻った。何処やらでは、のうのうと、声をそろえて羽衣を謡っていた。 笛を吹く人もあった。....