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何時となく
「何時となく〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
何時となくの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「道草」より 著者:夏目漱石
面の後《あと》には大抵仲裁者としての自然が二人の間に這入《はい》って来た。二人は
何時となく普通夫婦の利くような口を利き出した。 けれども或時の自然は全くの傍観....
「蘆声」より 著者:幸田露伴
の倦んだ時分には、そこらを散策したりしたものであった。 川添いの地にいたので、
何時となく釣魚の趣味を合点した。何時でも覚えたてというものは、それに心の惹かれる....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
て品評されるわけでもなく、特にまた師匠が明らさまに優劣を保障するわけでもないが、
何時となく、誰いうとなく、腕の好いものと、拙いものとはチャンと分っている。それは....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
彼は斯様な出金を東京税と名づけた。彼等はしば/\東京税を払うた。
白の頭上には
何時となく呪咀の雲がかゝった。黒が死んで、意志の弱い白はまた例の性悪の天狗犬と交....
「加護」より 著者:宮本百合子
だろう。 お幾の頭には、ふとしたことからつい半年ほど信仰し始めた、天理教の教が
何時となく浮み上っていた。あの教では、人が思いがけない不幸や災害に遭うのはきっと....
「白くれない」より 著者:夢野久作
は皆黒服、和人は皆|白無垢なり。 時|恰も正午に近く、香煙に飢ゑたる、わが心、
何時となく、くるめき弱らむとするにぞ、袂に忍ばせたる香煙の脂を少しづゝ爪に取りて....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
等の勢力を中心として結束して自己等の生活を安固幸福にするのを悦んだためであるか、
何時となく自治制度様のものが成立つに至って、市内の豪家鉅商の幾人かの一団に市政を....
「C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
巓を曇らせて降り注ぐ驟雨に洗われ、或時はじめじめと陰鬱な細雨に濡れて、夏の光輝は
何時となく自然の情景の裡から消去ったようにさえ見えます。瑞々しい森林は緑に鈍い茶....
「死者の書」より 著者:折口信夫
く女衆が多かった。そうして、夜に入ってくたくたになって、家路を戻る。此|為来りを
何時となく、女たちの咄すのを聞いて、姫が、女の行として、この野遊びをする気になら....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
いともつかぬ、異様なものだった。けれども、そうしているお筆を眺めているうちには、
何時となく、彼女が人間の限界を超絶しているような存在に考えられて来て、そこから満....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
にして彫刻するということに苦心したのであります。 この研究が一、二年続く中に、
何時となく従来の古い型が脱れて、仏臭が去ったようなわけであって、その頃では、こう....
「入れ札」より 著者:菊池寛
でなく、十年前までは、兄弟同様に賭場から賭場を、一緒に漂浪して歩いた忠次までが、
何時となく、自分を軽んじている事を知った。皆は表面こそ『阿兄! 阿兄!』と立てて....
「それから」より 著者:夏目漱石
衝突しかけた事も一度や二度ではない。 けれども、時日を経過するに従って、肝癪が
何時となく薄らいできて、次第に自分の頭が、周囲の空気と融和する様になった。又なる....