何食わぬ顔[語句情報] » 何食わぬ顔

「何食わぬ顔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

何食わぬ顔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
歩いたのと、さすがに故郷が恋しくなったのとで、その年の秋ごろに国へ逃げて帰って、何食わぬ顔をして暮らしていたんです。勿論、そんなことは他人にうっかりしゃべられな....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
! 刑事の女房がそんな事でどうするのだ」 彼は苦笑いしながら、 「もし来たら、何食わぬ顔をして丁寧にもてなして上へ上げて、お前はお茶菓子でも買いに行くような風....
黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
ような大それた事は、絶対にするとは思えない。 初めの野村の考えでは、当日重武が何食わぬ顔をして、ブラリと遊びに来て、巧みにスリ替えて行ったのではないかと思った....
少年探偵長」より 著者:海野十三
くし金庫におさめると、翻訳しかけていた紙を、クチャクチャにかみくだいて、それから何食わぬ顔をして、店のほうへでていった。 店へきた客は、立花カツミ先生であった....
白痴」より 著者:坂口安吾
侵入してきて仕立屋の豚小屋で残飯のバケツをぶちまけついでに家鴨に石をぶつけ、全然何食わぬ顔をして鶏に餌をやりながら突然蹴とばしたりするのであったが、相当の人物と....
ジロリの女」より 著者:坂口安吾
ればイマイマしい。その肚ならば、こっちもママヨ、当って砕けろと、悪度胸をきめて、何食わぬ顔、衣子を訪ねた。 「実は奥さん、ウチの社で、箱根伊豆方面へ三泊の慰安旅....
曽我の暴れん坊」より 著者:坂口安吾
る。 「さ、松の木にきいてみろ。たって上るか、どうだな」 さすがに親分の権太、何食わぬ顔、五郎に近よりざまに太刀をぬいて斬ってかかる。五郎、体をひらいて、トン....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
に誰かの頭をかっていた。夜、頭をかって、美姫に対面に赴くべきや。朝、頭をかって、何食わぬ顔、会社へ出勤すべきや。ここへ遊びにきた男の子は、どうしてもこの難問題を....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
「あゝ。あの人なら、知ってるよ。たぶん、横手のあたりに生れた人だろう」 私は何食わぬ顔で、そう云ってやった。むろん私はその記者に腹を立てるところなどミジンも....
都会の中の孤島」より 著者:坂口安吾
とは殆どなかったし、また被害をうけた場合には、誰一人知らないうちにそれを補充して何食わぬ顔をしている天分があった。誰もその天分を知らなかった。なぜなら、そういう....
夜光虫」より 著者:織田作之助
にそのあとをつけ、雑踏の中で、そのチケットを掏ってしまった。 二時間後、亀吉は何食わぬ顔をしてその荷物を受け取りに行き、闇市へ持って行く。 「……煙草一本吸う....
謡曲と画題」より 著者:上村松園
をこっそり写しとって家に帰り、その歌を万葉集の草紙の中へ読人不知として書き加え、何食わぬ顔をして翌日清涼殿の御歌合せの御会へのぞみました。 集まる人々には河内....
墓地の殺人」より 著者:小酒井不木
地の形が似ているところから隣の東泉寺の墓地へ連れこんで撲殺し、衣類や下駄を脱いで何食わぬ顔して戻ってきました。 ところが愚鈍だと思った寺男にそれを感づかれてし....
国境」より 著者:黒島伝治
人間の胴体に合う中が空洞となった容器に、酒精を満し、身肌につけて、上から服を着、何食わぬ顔で河岸からあがってきた。酒精に水をまぜて、火酒として売りつけた。資本主....
五重塔」より 著者:幸田露伴
いぬを不審してどこへと問えば、どちらへかちょと行て来るとてお出でになりました、と何食わぬ顔で婢の答え、口禁めされてなりとは知らねば、おおそうか、よしよし、我は火....