» 余所行

「余所行〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

余所行の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
」 行詰った鼻の下へ、握拳を捻込むように引擦って、 「憚んながらこう見えても、余所行きの情婦があるぜ。待合へ来て見繕いで拵えるような、べらぼうな長生をするもん....
黒百合」より 著者:泉鏡花
を着換えたお雪を見た。繻子の帯もきりりとして、胸をしっかと下〆に女|扇子を差し、余所行の装、顔も丸顔で派手だけれども、気が済まぬか悄然しているのであった。 「お....
三枚続」より 著者:泉鏡花
うじゃあないか。片腕ッていう処だが、紋床の役介者は親方の両腕だ、身に染みて遣りゃ余所行の天窓を頼まれるッて言っていたものがあるよ、どうだい。」 「へ、……どうい....
錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
と、ただの草ッ葉なんですけれど、奥さんがそうしてお活けなさいますと、お祭礼の時の余所行のお曠衣のように綺麗ですわ。 撫子 この細りした、(一輪を指す)絹糸のよう....
子規居士と余」より 著者:高浜虚子
居士自身の傾向には反対した事をよく認めて余に送ってくれた事もあった。けれどもその余所行きの忠告の文句の裡に余は居士自身の煩悶を体読せずにはおかなかった。居士の煩....
足迹」より 著者:徳田秋声
どと、愛想を言いながら出て行った。叔父は奥へ引っ込んで、叔母に紙入れを出さすと、余所行きの羽織を引っかけて、ぶらりと女をつれ出した。 暮の決算報告などに忙しい....
あらくれ」より 著者:徳田秋声
礼|談《ばなし》が出るようになってから、作は懲りずまに善くお島の傍へ寄って来た。余所行《よそゆき》の化粧をしているとき、彼は横へ来てにこにこしながら、横顔を眺め....
新世帯」より 著者:徳田秋声
て、顔や手を洗い、お作の鏡台を取り出して来て、お扮飾をしはじめた。それが済むと、余所行きに着替えて、スッと店頭へ出て来た。 「私ちょいと出かけますから……。」と....
元日」より 著者:夏目漱石
且《かつ》乱雑なる一日と見做《みな》して呉《く》れる様になったら、余も亦《また》余所行《よそゆき》の色気を抜いて平常の心に立ち返る事が出来るから、たとい書く事に....
こころ」より 著者:夏目漱石
。 その頃から見ると私も大分《だいぶ》大人になっていました。けれどもまだ自分で余所行《よそゆき》の着物を拵えるというほどの分別《ふんべつ》は出なかったのです。....
道草」より 著者:夏目漱石
めていた。 「あなた何を考えていらっしゃるの」 健三はちょっと振り返って細君の余所行姿《よそゆきすがた》を見た。その刹那《せつな》に爛熟《らんじゅく》した彼の....
ヰタ・セクスアリス」より 著者:森鴎外
った。親類には娘の子もあったが、節句だとか法事だとかいうので来ることがあっても、余所行の着物を着て、お化粧をして来て、大人しく何か食べて帰るばかりであった。心安....
」より 著者:森鴎外
識に直覚しつつも、なぜ自分の家庭生活にこう云う味が出ないかと反省したり、こう云う余所行の感情を不断に維持するには、どれだけの要約がいるか、その要約が自分や妻に充....
牛鍋」より 著者:森鴎外
注いで遣る女がある。 男と同年位であろう。黒繻子の半衿の掛かった、縞の綿入に、余所行の前掛をしている。 女の目は断えず男の顔に注がれている。永遠に渇している....
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
始で、後には母の髪、妹の髪、女中たちの髪までも結い、我髪は固より自ら結った。唯|余所行の我髪だけ母の手を煩わした。弘前に徙った時、浅越玄隆、前田善二郎の妻、松本....