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余波
「余波〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
余波の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
今この下人が、永年、使われていた主人から、暇を出されたのも、実はこの衰微の小さな
余波にほかならない。だから「下人が雨やみを待っていた」と云うよりも「雨にふりこめ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
薙放しの頭髪も洗ったように水々しく、色もより白くすっきりあく抜けがしたは、水道の
余波は争われぬ。土地の透明な光線には、(埃だらけな洋服を着換えた。)酒井先生の垢....
「妖術」より 著者:泉鏡花
がひやひやと身に染む頃。もうちと経つと、花曇りという空合ながら、まだどうやら冬の
余波がありそうで、ただこう薄暗い中はさもないが、処を定めず、時々墨流しのように乱....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
、ソ連は日ソ中立条約存続の意志なきことを通告し来り(来年四月二十五日期限)、その
余波もくらった形に見える。 小磯内閣の退陣に当たり印象に残ったのは、米内海軍大....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
時ならぬ、急な雨と存じました。 夫人 この辺は雨だけかい。それは、ほんの吹降りの
余波であろう。鷹狩が遠出をした、姫路野の一里塚のあたりをお見な。暗夜のような黒い....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
。 月は、その上にかかっているのに。…… 先達の仁右衛門は、早やその樹立の、
余波の夜に肩を入れた。が、見た目のさしわたしに似ない、帯がたるんだ、ゆるやかな川....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
ゆ。卯辰山、霞が峰、日暮の丘、一帯波のごとく連りたり。空|蒼く晴れて地の上に雨の
余波ある時は、路なる砂利うつくしく、いろいろの礫あまた洗い出さるるが中に、金色な....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
ごとき青田の上に……かなたこなた同じ雲の峰四つ五つ、近いのは城の櫓、遠きは狼煙の
余波に似て、ここにある身は紙鳶に乗って、雲の桟渡る心地す。 これから前は、坂が....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
この雨は間もなく霽れて、庭も山も青き天鵞絨に蝶花の刺繍ある霞を落した。何んの
余波やら、庵にも、座にも、袖にも、菜種の薫が染みたのである。 出家は、さて日が....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
へ、瞬く間に立蔽う、黒漆の屏風一万枚、電光を開いて、風に流す竜巻が馳掛けた、その
余波が、松並木へも、大粒な雨と諸ともに、ばらばらと、鮒、沙魚などを降らせました。....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
めしが、刷いたるよう広がりて、墨の色せる巓と連りたり。山はいまだ暮ならず。夕日の
余波あるあたり、薄紫の雲も見ゆ。そよとばかり風立つままに、むら薄の穂|打靡きて、....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
と擦るように袖を撫でた。その透切した衣の背に肩に、一城下をかけて、海に沈む日の
余波の朱を注ぐのに、なお意気は徹って、血が冴える。 「でも、一生懸命ですわ。――....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
ときは、習慣の力その波道次第に習熟して、「呂」点より入りきたるところのもの、その
余波を「仁」点に伝うるを待たず、ただちに「波」に向かって流出するに至るがゆえなり....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
浴びせ掛けるものもあった。 その頃は既に鹿鳴館の欧化時代を過ぎていたが、欧化の
余波は当時の新らしい女の運動を惹起した。沼南は当時の政界の新人の領袖として名声|....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
人と小児とともに、その心ヤソ教海の水に浴するときは、男子は自然の性力によりてその
余波をくむは、また必然の勢いなり。かつ、小児のとき得たる思想は先入主となるの理に....