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余白
「余白〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
余白の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
いささかこの小論文の体裁を完全にしたいのであるが、生憎《あいにく》そうするだけの
余白が残っていない。自分はただここに、「さまよえる猶太人」の伝記の起源が、馬太伝....
「或る女」より 著者:有島武郎
るのは、思い存分自分をもてあそべといってやるのと同じ事だった。葉子は怒りに任せて
余白を乱暴にいたずら書きでよごしていた。
と、突然船医の部屋から高々と倉地の笑....
「星座」より 著者:有島武郎
してそれが鉛墨《えんぼく》でみごとに光っていた。柱のめくり暦は十月五日を示して、
余白には、その日の用事が赤心《あかしん》の鉛筆で細かに記してあった。大きな字がお....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
から、豹一はわざわざ席を立つこともしなかった。 「いま給仕が問題用紙を配ります。
余白に答案を書いて下さい。時間の制限はありません。しかし、夕方まで掛ったりされま....
「赤外線男」より 著者:海野十三
のっぴきならぬ証拠が出来る筈だった。それはあの色とりどりの円い標的の間に残る白い
余白には、あの裏面から赤外線で照明している深山の別個の標的があったのだ。彼女は赤....
「蠅」より 著者:海野十三
の紙がピンで刺してあった。そして大部分は独逸文字で書き埋められてあったが、一部の
余白みたいなところには、アラビア・ゴムで小さい真黒な昆虫が附着していた。どの短冊....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
稚純な母の女心のあらゆるものを吹き込まれた、このベビー・レコードは、恐らく、
余白のないほど女心の痛みを刻み込まれて飽和してしまったのではあるまいか。この二十....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
中に、博士がなぜ描かねばならなかったものか、考えてみ給え」
そうして、黙示図の
余白に、鉛筆で※の形を書いてから、
「熊城君、これが※を表わす上古埃及の分数数字....
「春昼」より 著者:泉鏡花
りと見たのみ、呉織文織は、あたかも一枚の白紙に、朦朧と描いた二個のその姿を残して
余白を真黄色に塗ったよう。二人の衣服にも、手拭にも、襷にも、前垂にも、織っていた....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
食 初日出揃い役者役人車輪に相勤め申候 名の上へ、藤の花を末濃の紫。口上あと
余白の処に、赤い福面女に、黄色な瓢箪男、蒼い般若の可恐い面。黒の松葺、浅黄の蛤、....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
のかわり、ことづけたいものがあるんだよ、待っておくれ。」 とその○□△を楽書の
余白へ、鉛筆を真直に取ってすらすらと春の水の靡くさまに走らした仮名は、かくれもな....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
文化と廃頽の魔性の精がいて、この俊敏な青年の生命をいつかむしばみ白々しい虚無的な
余白ばかりを残して仕舞った。恰も自家中毒の患者を見るような憐みさえ、かの女の心に....
「暗黒星」より 著者:黒岩涙香
で、時によると「前号発兌以来、一つも注目するに足る事件無し」とのみ記して、他は皆
余白の儘に存している新聞が、読者の家の戸口に置かれる事もある。 三 言葉は全世界....
「国栖の名義」より 著者:喜田貞吉
の後名義考の補考を著わすに及んで、簡単にこれに及んで記述したが、今やさらに本誌の
余白を借りて、これを纏めてみたいと思う。 自分は思う。「久須」はもと「クニス」....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
ると信じてこの訳著の中に付加した。本書第百五十六頁にある楽譜は、原著者が同論文の
余白にみずから書き添えて訳者におくられた筆跡に拠った。 ○『手記』抄訳の原本は ....