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「余裕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

余裕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
文章」より 著者:芥川竜之介
はひそかに予期した感銘の十分の一も与えていない。勿論彼はN氏の言葉を一笑に付する余裕《よゆう》を持っている。しかし現在の彼自身の位置は容易に一笑《いっしょう》に....
偸盗」より 著者:芥川竜之介
を南へ二三町、下るともなく下って来た。今は沙金《しゃきん》の安否を気づかっている余裕もない。侍は衆をたのんで、すきまもなく切りかける。犬も毛の逆立った背をそびや....
疑惑」より 著者:芥川竜之介
飲ませるやら薬をくれるやら、大騒ぎを致して居りました。が、私はその同僚に礼を云う余裕もないほど、頭の中はあの恐しい疑惑の塊《かたまり》で一ぱいになっていたのでご....
ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
とすぐ、自分でもそうと気がつくが、現についている時には、全然結果の予想などをする余裕は、無いのである。 平吉は自分ながら、何故そう嘘が出るのだかわからない。が....
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
の後《うしろ》に、避難する事が出来たかも知れない。が、己にはどうしても、そうする余裕が作れなかった。まるで己の心もちを見透《みとお》しでもしたように、急に表情を....
首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
ら流れている、どす黒い血を拭ったりした。が、彼の頭には、それを一々意識するだけの余裕がない。ただ、斬られたと云う簡単な事実だけが、苦しいほどはっきり、脳味噌に焦....
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
の間に物故《ぶっこ》してしまった。それが余り突然だったので、適当な後任を物色する余裕がなかったからの窮策《きゅうさく》であろう。自分の中学は、当時ある私立中学で....
お時儀」より 著者:芥川竜之介
生憎《あいにく》もう今では忘れている。いや、当時もそんなことは見定《みさだ》める余裕を持たなかったのであろう。彼は「しまった」と思うが早いか、たちまち耳の火照《....
三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
「かけなかったように思いまする。」 「その時には相手を何と思った?」 「何と思う余裕《よゆう》もござりませぬ。わたくしは傘を斬られると同時に、思わず右へ飛びすさ....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
膂力《りょりょく》は、周囲に佇《たたず》んだ若者たちから、ほとんど声援を与うべき余裕さえ奪った観《かん》があった。彼等は皆息を呑んで千曳《ちびき》の大岩を抱えな....
将軍」より 著者:芥川竜之介
論彼の顔には、微笑さえも浮ばせなかった。しかし彼は看客の興味に、同情を持つだけの余裕はあった。では外国武官たちに、裸《はだか》の相撲を見せても好《い》いか?――....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
て、来ようなどとは考えませんから、この時もやはり気にとめずに、約束の刻限にはまだ余裕もあろうと云うので、あれから一つ目の方へ曲る途中、看板に藪《やぶ》とある、小....
或る女」より 著者:有島武郎
もなく高く笑った。おそらくはあまりしかつめらしい空気を打ち破って、なんとかそこに余裕《ゆとり》をつけるつもりが、みんなに起こったのだろうけれども、葉子にとっては....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
らで胸が一ぱいで、自分の居る場所がどんな所かというような事に、注意するだけの心の余裕とてもなかったのでございます。それに四辺が妙に薄暗くて気が滅入るようで、誰し....
私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
あるから聴衆が高い所に居ならんでいる。原稿を持って出たが、これを読むだけの気持の余裕がなく、無我夢中、やたらにカン高い声でしゃべってしまったが、わが生涯最初の演....