余計者[語句情報] »
余計者
「余計者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
余計者の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「花燭」より 著者:太宰治
て三度とも失敗している。多人数の大家族の間に育った子供にありがちな、自分ひとりを
余計者と思い込み、もっぱら自分を軽んじて、甲斐ない命の捨てどころを大あわてにあわ....
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
江戸表へという、惣次郎が死ねばお隅さんも旦那様がいなければ此の家《うち》にいても
余計者だから私《わたくし》も江戸へ帰るという、江戸へ行《ゆ》くなれば一緒にという....
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
。君のような秀才にはわかるまいが、「自分の生きている事が、人に迷惑をかける。僕は
余計者だ。」という意識ほどつらい思いは世の中に無い。 3 けれども君....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
ているにも拘らず、学生は一種の可能的な失業者と見做されることになり、云わば一種の
余計者で邪魔者だとさえ考えられて来る。学校を減らし学生の数を制限しろと社会では提....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
し、またそのために、いま、若き主君伊賀の源三郎は行方知れず……丹下左膳などという
余計者《よけいもの》まで飛び出して、まんじ巴の必死の争いを描きだしているその中心....
「草藪」より 著者:鷹野つぎ
みはどこにもあるし、云い分のある事情もそれぞれどこにもあるであろうけれども、人を
余計者、生存に堪えがたくさせる仕打は、この世の最も冷酷な、理由の立たぬ態度ではあ....
「泣虫小僧」より 著者:林芙美子
……啓吉は、あの男と母親が、愉しそうに笑いあっているのではないかと思うと、自分が
余計者のようで不図涙が出た。 「おい、ほら鮭が焼けたぜ」 いっぱい飯の盛られた....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
《ぬ》れ燕《つばめ》(発端篇)
せっかく盗みだしたこけ猿の壺を、チョビ安てえ
余計者《よけいもん》がとびだしたばっかりに、丹下左膳という化け物ざむらいにおさえ....
「文学的自叙伝」より 著者:林芙美子
住居《すまい》も定まらず親子三人で宿屋から宿屋を転々としながら、私は何時も母親に
余計者だとののしられながら暮らしていました。大正十三年の春、また、私はひとりで東....
「高尾ざんげ」より 著者:豊島与志雄
いました。 「君の生活がりっぱにうち立てられたせいか、ここにいると、僕はなんだか
余計者だって気がするよ。」 菊千代はちょっと淋しそうな顔をしました。 「あたし....
「可愛い女」より 著者:神西清
家をあけることがあるので、オーレンカはサーシャが両親にすっかり打棄られて、一家の
余計者扱いにされ、飢え死しかけているような気がしてならなかった。そこで彼女は少年....
「接吻」より 著者:神西清
だけだった。最初のゲームはまだ終らなかったが、彼は早くも退屈してしまって、自分は
余計者だ、邪魔なばかりだと、そんな気がしはじめた。……ふとまた広間へ帰ってみたく....
「決闘」より 著者:神西清
りゃ君に助けて貰えないことぐらい、僕だってよく知っている。しかしね、僕たち不運な
余計者というものは、こういう話でもさせて貰わなけりゃやりきれないんだよ。つまり自....
「城」より 著者:カフカフランツ
なたは何者でもないんですよ。でも残念ながらあなたは何者かではありますよ。よそ者、
余計者でどこでだってじゃまになる人間なんです。その人のためにいつだって他人に迷惑....
「かもめ」より 著者:神西清
しの文士というものは、殊に不遇な時代がそうですが、われながら間の抜けた、不細工な
余計者みたいな気のするものでしてね、神経ばかりやたらに尖らせて、ただもう文学や美....