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「余音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

余音の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
ゆくのが夜目にもほの白く見えた。春の夜の寒さを呼び出すような按摩の笛が、ふるえた余音《よいん》を長くひいて横町の方から遠くきこえた。 江戸|町《ちょう》の角か....
明暗」より 著者:夏目漱石
なおその当人の猿という渾名《あざな》を、一座を賑《にぎ》わせる滑稽《こっけい》の余音《よいん》のごとく繰《く》り返《かえ》した。夫人は半《なか》ば好奇的で、半ば....
思い出す事など」より 著者:夏目漱石
太鼓を余ほど精密に研究したものはあるまい。その結果として余は今でも時々どんと云う余音《よいん》のないぶっ切ったような響を余の鼓膜の上に錯覚のごとく受ける。そうし....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
時々余等の耳に刹那の妙音を伝える。 あたりが静なので、戸をしめきっても、四方に余音が伝わる。蓄音器があると云う事を皆知って了うた。そこで正月には村の若者四十余....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
。されど、武道の試合はまた格別」 格別! と言い切って、口をまた固く結んだその余音《よいん》が何物を以ても動かせない強さに響きましたので、いまさらに女は狼狽《....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
内と声色 秋は月の夜更けに、都の大路小路を流しゆく新内の三味線、澄み切った空に余音を伝えて妙に心を誘るもあわれだ。 さればぞこの哀愁を帯びた旋律に誘われて、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
磯《いそ》に すむ千鳥《ちどり》 君が御代《みよ》をば 八千代《やちよ》とぞ鳴く余音《よいん》を残して尺八が行ってしまったあとで、竜之助は再びこの歌をうたってみ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の息子で金蔵という不良少年は、締りのない口元から、惜しいものだね――と、ね――に余音《よいん》を持たせて、女の入って行ったあとを飽かずに見ていたが、 「全く、あ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
然《おおぜん》トシテ、怨《うら》ムガ如ク、慕フガ如ク、泣クガ如ク、訴フルガ如シ、余音《よいん》嫋々《じようじよう》トシテ、絶エザルコト縷《いと》ノ如シ、幽壑《ゆ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
が、お銀様にとっては、この「繊々初月上鴉黄」という一句が、また、なかなかに恨みの余音《よいん》を残している一句でありました。 六十一 お銀様....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
は心得ておりました。伊勢から東海道を下る時に、たしか浜松までは、その一管の尺八に余音《よいん》をこめて旅をして来たはずです。浜松へ来て、お絹に逢ってから尺八を捨....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
のことを心配して出かけたりしたことがありました。そしたらすぐそちらに廻り、一ヵ月余音沙汰なしで、話は又同じ題目で、どうしても私は一定の主義に立って物をかいている....
子規居士と余」より 著者:高浜虚子
さえあり。この笑いほど僕を慰めたる笑いはなかりしなり。たちまちにして読み畢りぬ。余音|嫋々として絶えざるの感あり。天ッ晴れ傑作なり貴兄集中の第一等なりと感じぬ。....