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余響
「余響〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
余響の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「運命」より 著者:幸田露伴
綺戸に当る。 会す 我が 同門の友、 言笑 一に何ぞ※ある。 素絃 清商を発し、
余響 樽爼を繞る。 緩舞 呉姫 出で、 軽謳 越女 来る。 但欲ふ 客の※酔せん....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
ことも考えた。 ほんとうのキリスト教はもうとうの昔に亡びてしまって、ただ幽かな
余響のようなものが、わずかに、こういう音楽の中に生き残っているのではないか。(大....
「野球時代」より 著者:寺田寅彦
ると、彼の二人の女の子がやはり茶の間のラジオの前にすわり込んで、ここでも野球戦の
余響をまき散らしているのである。いったいおまえたちにはこれがわかるのかと聞いてみ....
「連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
ことについては今日でも実はまだよくわかっていないのであるが、ただ甲が残して行った
余響《ナハクラング》あるいは残像《ナハビルド》のようなものと、次に来る乙との間の....
「映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
聞くといったような感じであった。アメリカのジャズとドイツのジャズとの偶然な対比の
余響からたまたまそういう気がしたかもしれない。 それにしてもわれわれ生粋の日本....
「三斜晶系」より 著者:寺田寅彦
もいちばん早くなくなったS君の記憶が多少特別なアクセントをもって印銘された、その
余響のようなものがこの夢のS君出現の動機になったのだと仮定すると不思議でなくなる....
「天災と国防」より 著者:寺田寅彦
くなって来る。村の貯水池や共同水車小屋が破壊されれば多数の村民は同時にその損害の
余響を受けるであろう。 二十世紀の現代では日本全体が一つの高等な有機体である。....
「日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
雑さの素因をなした過去の地質時代における地殻の活動は、現代においてもそのかすかな
余響を伝えている。すなわち地震ならびに火山の現象である。 わずかに地震計に感じ....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
句で二たび起して重厚荘潔なる名詞止にしている。この名詞の結句にふかい感情がこもり
余響が長いのである。作歌当時は言語が極めて容易に自然にこだわりなく運ばれたとおも....
「神田を散歩して」より 著者:寺田寅彦
うに輝いて消えるころに乙の宣伝が砲声のようにとどろいて来る。そうして一つのものの
余響はやがて次の声の中に没し、そういう事が順次に引き続いていつまでも繰り返される....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
り響く海原のうちに迷い込んだ。 そして力強いその呟《つぶや》きが黙した時、その
余響が空中に消え去った時、彼は我れに返った。彼は驚いてあたりを見回した。……もう....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
山の陰になりしためにや、風も何時か吹きやみて、船が氷山の一角に乗りあげし時、その
余響を受けて荒れまわりし激浪怒濤も、次第々々に静かになり、四辺は急にシーンとせり....