佩剣[語句情報] »
佩剣
「佩剣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
佩剣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
まるで前の古藤の声とは思われぬようなおとなびた黒ずんだ声がして、がちゃがちゃと
佩剣《はいけん》を取るらしい音も聞こえた。やがて岡の先に立って格好の悪いきたない....
「鼻」より 著者:ゴーゴリニコライ
のだと思うと、まるで生きた心地もなかった。美々しく銀モールで刺繍をした赤い立襟や
佩剣などが、もう眼の前にちらついて……彼は全身ブルブルとふるえだした。とうとう下....
「ゼラール中尉」より 著者:菊池寛
の侵入を欣《よろこ》んでいるようなゼラール中尉を心から憎んだのである。彼は思わず
佩剣《はいけん》の柄《つか》を握りしめた。 が、ここで彼の怒りをもらすことは、....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
、肩と肩とを組み、熱意に燃えて変貌したような顔をしていたが、その不思議な行進には
佩剣《はいけん》の響も伴っていて、一角が崩されると、その人達はなおいっそう激昂し....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
響した。 外はだんだんと騒々しくなってきた。バタバタと駆けだす靴音に交じって、
佩剣がガチャガチャ鳴る響さえ聞えた。呼笛はなおも執念深く吹き鳴らされている。そこ....
「壊れたバリコン」より 著者:海野十三
んな言葉が何とはなしに脳裡に浮びました。 室の外の長廊下の遠くから、入り乱れて
佩剣の音が此方へ近付いて来ました。 丸本少佐の外に士官が二人、兵士が二人うち連....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
した」 司令官の側に、先刻から一言も吐かないで沈黙の行を続けていた有馬参謀長が
佩剣をガチャリと音させると、「よオし、読みあげい」と命じたのだった。 「はッ」伝....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
警官はいく度も肯いていたが、刑事たちが、 「じゃ、願いますよ」 と肩を叩くと、
佩剣を握って忍び足に元来た道へひっかえしていった。 「さあ、これでいい。……じゃ....
「蠅男」より 著者:海野十三
から這入れ、三人外に残して、残り皆で這入るんや。俺も這入ったる」 巡査部長は、
佩剣を左手で握って、裏口へ飛びこんでいった。帆村もそのまま一行の後に続いていった....
「人造人間事件」より 著者:海野十三
のぼっていった。石段を上りきったと思ったら、 「こらッ」と大喝一声、塀のかげから
佩剣を鳴らして飛びだしてきた一人の警官! 帆村の頸っ玉をギュッとおさえつけた、帽....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
いへん骨の折れることだった)――そのレッドの銅鑼ごえに奥の方から役人ワイトマンが
佩剣のベルトを腰に締めつけながら、睡むそうな顔を現した。(と書くと、この国境の税....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ずれも天鵞絨や紋織りの衣服を着て、羽根毛のついている帽子をかぶって、むかしふうの
佩剣をつけている人びとばかりであるのに驚かされました。そこには握りが黄金で出来て....
「いわゆる「反省」は我々を救うか」より 著者:岸田国士
ようどその日の生徒監は、なかなか粋の利く新任中尉で、自習室へはいつて来る前から、
佩剣の音をわざと高く立て、それは長靴のかゝとで指揮刀のさやを蹴りつゝ歩く一種の青....
「母と娘」より 著者:岡本かの子
閲兵を受けるエンパイヤ・デー(帝国紀念日)の女軍観兵式にはアグネスは女士官として
佩剣を取って級友を率いた。級友は彼女を其の父の位の通りアグネス中尉閣下と囃した。....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
た。その瞬間、狂熱の若者は、すっかり理性を失ったか、鳴り響くような怒号とともに、
佩剣に手をかけた。「これは乱暴を召さる」と彼は女王の顔に吐きつけた「我慢なりませ....