依託[語句情報] »
依託
「依託〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
依託の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
れるとすれば、無論男を捨てて女の先途だけを見届けたかった。けれども自分が田口から
依託《いたく》されたのは女と関係のない黒い中折帽《なかおれぼう》を被《かぶ》った....
「行人」より 著者:夏目漱石
れて出た、どんな枝となって、互に関係しているか知らないくらいな人間である。母から
依託された用向についても大した期待も興味もなかった。けれども久しぶりに岡田という....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
や思想家が申し出たように、女性は産児と哺育との負担からして、実生活の活動を男性に
依託せねばならなかった。男性は野の獣があるように、始めは甘んじて、勇んでこの分業....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
田城へ駆けつけたところ、郡奉行はひそかに彼を別室に招き間道通過に尽力すべきことを
依託したという。その足で豊三郎は飯田の町役人とも会見した。もし北原兄弟の尽力で、....
「爛」より 著者:徳田秋声
ある家の嫁に、お今をくれることに、肝を煎ってくれる人のあるのを幸い、浅井に一切を
依託してあった妹を急に自分の手に取り戻そうとするのであった。 婿にあたる男は、....
「『東洋美術図譜』」より 著者:夏目漱石
時に出版されたものである。これは友人|滝《たき》君が京都大学で本邦美術史の講演を
依託された際、聴衆に説明の必要があって、建築、彫刻、絵画の三門にわたって、古来か....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
ないではないか。あれは、自分で名乗をあげていたように、フイリッピン人カラモという
依託学者で、ロンドンの英国海軍工廠にあってエンジン製造に従事していた者で、エンジ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
のが、芳原《よしわら》で黄金の節分をやった時のように。小にしては梅忠なるものが、
依託金の包みを切って阿波の大尽なるものを驚かした時のように――放蕩児《ほうとうじ....
「自警録」より 著者:新渡戸稲造
》に入っている間とても、なお一時社会から預《あずか》ったようなものである。いわば
依託金《いたくきん》のごときものであるからして、これを無意味に浪費《ろうひ》しす....
「遠藤(岩野)清子」より 著者:長谷川時雨
娘だったので、清子さんの遺児はその遺志によって、『青鞜』同人たちから、郁子さんに
依託することになった。そして、あの大正十二年の大震火災のおり、広い二階座敷にいた....
「芳川鎌子」より 著者:長谷川時雨
は瀕死であるためにすべての事は秘密に葬りやすかった。この事件の一切を処理する事を
依託された岡氏は、絶対の秘密にして、遺書も一応披見したのち焼きすててしまった。 ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
ました。 賀古氏と兄とは、終生真実の親戚以上の交際を続けました。賀古氏は陸軍の
依託学生なのでしたから、すぐに陸軍に出られて、日清日露の両役にも出征し、予備役へ....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
うな手紙をよこすことは極めて稀であったが、ただ居士の留守中碧梧桐君と余との両人に
依託された『日本新聞』の俳句選に就いて時に批評をしてよこした。この頃余は碧梧桐君....
「夜の道づれ」より 著者:三好十郎
うです。 御橋 どんな會社? 熊丸 小さな信託會社で、工場や商會などの經理方面の
依託事業などもしていますけど―― 御橋 じや……だから、勤めているんでしよう? ....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
ところであるが軍人にはその自由がない。昭和十三年、大同学院から国防に関する講演を
依託されて「戦争史大観」をテキストとすることとなり若干の修正を加えた。 「将来戦....