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侵蝕
「侵蝕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
侵蝕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「道草」より 著者:夏目漱石
彼が帰ると、健三は厭な顔をして細君に向った。 「ありゃ成し崩しに己《おれ》を
侵蝕《しんしょく》する気なんだね。始め一度に攻め落そうとして断られたもんだから、....
「黴」より 著者:徳田秋声
ありませんとも。」 お銀も言ったが、笹村はやはり不安でならなかった。目に見えぬ
侵蝕の力が、とても防ぎきれないように考えられた。 「子供一人を取って別れるよりほ....
「土鼠と落盤」より 著者:黒島伝治
なった。――井村は、それをきいていた。子も、孫も、その孫も、幾年代か鉱毒に肉体を
侵蝕されてきた。荒っぽい、活気のある男が、いつか、蒼白に坑夫病た。そして、くたば....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
は謙虚でなかった。ただ神経の鋭敏と官能の豊富とに微かな気息を洩らして、感情生活の
侵蝕に甘んずるにはあまりに真率であった。現実生活をしていっそうよきものたらしめん....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
皿の上の魚のように、彼女はいつまでも黙りこくって動かない。なにが彼女の脳髄を
侵蝕しているのか、私にはよくわかる。考えてみると、私達は倫敦で相当根を下ろして生....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
の魚のように、彼女はいつまでも花束とともに黙りこくって動かない。何が彼女の脳髄を
侵蝕しているのか、私にはよくわかる。東京と東京の持つすべて、日本と日本のもつすべ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
すると、出てきた。 くっきりとした地と水のさかい。屈折する陸の進出と、海の
侵蝕。仏蘭西の浜は赤土の露出だ。それに白い浪がよせている。 この絢爛な感情・王....
「鉛をかじる虫」より 著者:寺田寅彦
禦法を講じる外はないであろう。 虫の口から何か特殊な液体でもだして鉛を化学的に
侵蝕するのかと思ったが、そうでなくて、やはり本当に「かじる」のだそうである。その....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
葉のうちにも爆発し、眼や口や身振りから輝き出てきた。しかしそういう力の中心には、
侵蝕《しんしょく》的な蛆虫《うじむし》が住んでいた。クリストフはときどき絶望の発....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
のたびは、いかにして顔をそむけないでおられようぞ。
殉教は、一つの浄化である、
侵蝕による浄化である。聖化せしむる苛責《かしゃく》である。最初のうちはそれを甘ん....
「選挙漫談」より 著者:黒島伝治
、そういう男は必ず取る。若し、自分の村で約束したゞけ取れそうになかったら、隣村へ
侵蝕してでも、無理やりに取る。 候補に立とうとするような地主は、そういう男を必....
「唇草」より 著者:岡本かの子
やった。 千代重が入り込んだ踏花園は、旧幕時代評判の下屋敷の庭を、周囲の住宅の
侵蝕から、やっと一角だけ取り残したという面影を留めている園芸場で、西南の市外にあ....
「春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
国において、積雪の期間のみの設備であるが、昔の不完全な家屋では、普通の場合風雨の
侵蝕に対しても、また同様に薦を立てて防壁の設備を施したものであったと考える。「縛....
「『西遊記』の夢」より 著者:中谷宇吉郎
えて、トルファン盆地へ出ると、そこは北に積雪のボグド・ウラ、南はクルック・タグの
侵蝕丘陵地帯に挟まれた流出口のない低地である。クルック・タグの山麓《さんろく》に....
「八ヶ峰の断裂 」より 著者:木暮理太郎
二間|乃至二間半位のものであろうと想われた。然し降るに連れて底は雨水や氷雪の為に
侵蝕され、傾斜が甚しく急峻になるから、左右の岩壁は益々高さを増して来る。随って降....