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「便々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

便々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
? もっとも向うの身になって見れば、母一人が患者《かんじゃ》ではなし、今頃はまだ便々《べんべん》と、回診《かいしん》か何かをしているかも知れない。いや、もう四時....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
なったのも、半ばはその誘惑におちいったからである。 こう気のついた彼は、すぐに便々とまだ湯に浸っている自分の愚を責めた。そうして、癇高《かんだか》い小銀杏の声....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
間はない。そう思うと、いくら都踊りや保津川下《ほつがわくだ》りに未練があっても、便々と東山《ひがしやま》を眺めて、日を暮しているのは、気が咎《とが》める。本間さ....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
が、新蔵はそれには返事もしないで、「僕はね、昨日の電話の一件があって以来、とても便々と家にゃいられないからね。これからすぐに君の所へ行くよ。いいえ、電話で君の話....
高野聖」より 著者:泉鏡花
なったものか、ぐたぐたと膝行出《いざりだ》して、婦人《おんな》の傍《そば》へその便々《べんべん》たる腹を持って来たが、崩《くず》れたように胡坐《あぐら》して、し....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
されていなければならないといいます。けれども、もうそんな日が来るのを、こっちから便々と待ってはいられなくなりました。そうして終《つい》に、私も決心の臍《ほぞ》を....
仇討三態」より 著者:菊池寛
を褒める引合として、きっと鈴木兄弟を貶した。 「鈴木忠三郎は、兄を迎えるために、便々と日を過したというが、幸太郎殿の分別とは雲泥の違いじゃ。敵を探し出しながら、....
博物誌」より 著者:岸田国士
葉のような耳の陰に、黒すぐりの小さな眼を隠している。 お前はまるすぐりのように便々たる腹をしている。 お前はまたまるすぐりのように長い毛を生やし、またまるす....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
る筈だのに近日帰るとは是も何事ぞ、扨は、扨は、怪美人松谷秀子と分るるに忍びずして便々と日を送る気か。事に由ると是はお浦の手紙に在る事が当るか知らんなど、余は気が....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
メフィストフェレス 坊主が言ったのです。 そして便々たる腹に本領安堵をさせました。 外のものより余計に交ぜ返したのは彼奴等です。....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
の座下に汗すという。両の肩怒りて頸を没し、二重の顋直ちに胸につづき、安禄山風の腹便々として、牛にも似たる太腿は行くに相擦れつべし。顔色は思い切って赭黒く、鼻太く....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
片一方なくなってるある像の前に長くたたずんで、それをながめた。池のそばには、腹の便々たる四十かっこうの市民がいて、五歳ばかりの男の児の手を引いていたが、それにこ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
て、三宝《さんぽう》を積み重ねた上に立っている娘の頭から水が吹き出す、力持の女の便々《べんべん》たる腹の上で大の男が立臼《たちうす》を据えて餅を搗く、そんなよう....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
第一、この隙間のない小柄な男が、木を伐って、その伐られた木に仕返しをされるまで、便々と待っているような男であり得るはずがない。 こう、直覚的にお銀様の眼に映っ....
朱絃舎浜子」より 著者:長谷川時雨
ゆったりした王朝式の服装と、被《かぶ》りものであるが、今日のように平服のときは、便々《べんべん》たる太鼓腹の下の方に、裾《すそ》の広がらない無地の木綿《もめん》....