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便法
「便法〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
便法の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
憤慨を禁じ得ないものはさっさと埒外《らちがい》に歩み去るが好い。自殺も亦確かに一
便法である。しかし人生の競技場に踏み止まりたいと思うものは創痍を恐れずに闘わなけ....
「女の決闘」より 著者:太宰治
んに神妙がっている様子である。彼等には、それでよいのかも知れない。すべて、生活の
便法である。非難すべきではない。けれども、いやしくも作家たるものが、鴎外を読んだ....
「現代日本の開化」より 著者:夏目漱石
話自動車大変なものになりますが、元を糺《ただ》せば面倒を避けたい横着心の発達した
便法に過ぎないでしょう。この和歌山市から和歌の浦までちょっと使いに行って来いと言....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
体を善良の政体なりと認むれども、その善政体たるゆえんはまったく国民的統一をなすの
便法たるをもってなり。他の政論派はみないわく、「代議政体はもっとも進歩せる政体な....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
また、検事局の手入れがあったが、「み知らせ」による病気治療や「お振替え」(信者は
便法上自分の不幸を教祖御木徳一の身へ振替えることが出来るという)の説や金銭取立て....
「比較言語学における統計的研究法の可能性について」より 著者:寺田寅彦
たとえば喉音のあるものは半数だけkかg、残り半数をhで代用するというような試験的
便法を取って第一歩を進める事もできる。(ここに統計的方法の長所があるとも言われる....
「涼味数題」より 著者:寺田寅彦
年は裏の藤棚の下の井戸水を頭へじゃぶじゃぶかけるだけで納涼の目的を達するという簡
便法を採用するようになった。年寄りの冷や水も夏は涼しい。 われわれ日本人のいわ....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
の点が私の最初の又は最後の主張なのだが、咄しを簡単にするために次に文学上の一つの
便法を利用することにしよう。尤も私は、サント・ブーヴが批評家の模範だろうとは、思....
「鴨猟」より 著者:豊島与志雄
縛することは、消極的な一面に於ては、たとえ無意識的にせよ被手術者が苦痛に堪え得る
便法となるそうである。 然しながら、吾々は手術台の上で身体を緊縛されて死するこ....
「「紋章」の「私」」より 著者:豊島与志雄
私」という人物を出して、傍観者たり説明者たり報告者たる地位におき、それを叙述の一
便法とする方法は、屡々用いられることである。この場合、「私」は大抵、作中の人物や....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
に、命を削って、調伏の偉効を示そうとしていたが、玄白斎にとって、それは、不正な、
便法でしかなかった。兵道家は、もっと、純一無垢な態度でなくてはならぬと信じていた....
「翻訳のむずかしさ」より 著者:神西清
およそこの言葉という縄をとび越えるほど厄介なことはない。そこでやむを得ず、色んな
便法が講じられることになる。その一例が、単色版式飜訳という方法だ。 それを一口....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
です。これはその地方から特別に運んで来ますので、決して金を為替で送るというような
便法はない。
ただ物品をその儘二百里あろうが五百里あろうが、その遠い所からみな....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
「なぜなら、あなたがおとなしくなられたと陛下に信じていただくためには、これ以上の
便法は考えられないからであります」 伯爵は、自分の顔つきに注意深くあらねばならぬ....
「科学と文化」より 著者:中谷宇吉郎
が一番良いであろう。それが困難な場合には研究の歴史的発展の順序によるという次善の
便法もある。それからその筋だけをちゃんと説明するための心得にも、例えば本当に自分....