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俊敏
「俊敏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
俊敏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
う淋しさだろう。大都会の下町――そこにはあらゆる文化と廃頽の魔性の精がいて、この
俊敏な青年の生命をいつかむしばみ白々しい虚無的な余白ばかりを残して仕舞った。恰も....
「富士」より 著者:岡本かの子
に」 といい、あとをも見ずに駈け去った。その走り方は、不器用な中に鳥獣のような
俊敏さがあった。 女は、きゅっきゅっと上態を屈めて笑った。男が精一杯のやけ力を....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
像画の主人公の面影を見て取ることが出来た。金モールの大礼服をつけた額の高い、鼻が
俊敏に秀でている禿齢の紳士であった。フランス髭を両顎近くまで太く捻っているが、規....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
も低い憂鬱な鳴り方であったが、その音が偶然便所に起きた検事の耳に入った。すると、
俊敏な検事の神経にたちまち触れたものがあったのだ。と云うのが大正十年の白露人保護....
「死者の書」より 著者:折口信夫
っているようにしか見えない。こんな事を、女人の身で知って居る訣はなかった。だが、
俊敏な此旅びとの胸に、其に似たほのかな綜合の、出来あがって居たのは疑われぬ。暫ら....
「島原の乱」より 著者:菊池寛
昌の志や悲壮である。名所司代板倉重宗の弟で、兄に劣らぬ器量があり、兄は重厚、弟は
俊敏であったが、つまらない貧乏くじを引き当てたのである。 松平信綱....
「『演劇』あとがき」より 著者:岸田国士
懇切な内容のものとなった。 一、わが国演劇の現状 東京新聞で劇評の筆を執り、
俊敏なジャアナリストとして私の嘱望する尾崎宏次君に、このめんどうな調査をお願いし....
「素人製陶本窯を築くべからず」より 著者:北大路魯山人
のは、私はあまりにも罪がなさ過ぎるとするものである。実業家としての前山翁は一部に
俊敏の聞こえ高い名士であるがごと、窯業芸術となってははなはだ解し難い腕前を有する....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
とつ探険にでも出かけますか。」 隣りから声をかけた。小樽からのちかづきの、あの
俊敏な紳士の、麦酒会社の重役の、ラジオファンのF君である。さっきからこちらの悄気....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
、その行動は縄墨をもっては、断じて計ることが出来なかったらしい。 性|磊落且つ
俊敏、金にも淫せず威武にも屈せず、天下の英雄眼中になしと、こう流祖伝に記してある....
「連環記」より 著者:幸田露伴
たろう。仏乗の研修は寂心の教導のみならず、寂心の友たり師たる恵心の指示をも得て、
俊敏鋭利の根器に任せて精到苦修したことでもあったろう。恵心はもとより緻密厳詳の学....
「モルグ街の殺人事件」より 著者:佐々木直次郎
男が利口そうな口を利くことに妙を得ているところが好きなんだ。そのおかげで奴さんは
俊敏という名声を得ているんだがね。奴さんのやり口というのは『|あるものを否定し、....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
それらのどれもこれもが、あの事件に当たってつねに推断の早きこと神のごとく、明知の
俊敏透徹たること古今に無双というべきむっつり右門にしては珍しすぎることでしたから....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ことにわれらの名人右門がひとたび出馬したとならば、かくのごとくに慧眼《けいがん》
俊敏、たちまち第一のなぞがばらりと解きほぐされましたものでしたから、ふたりの配下....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
すきがなく、大きくふりおろす太刀先にはきびしい力がこもっていた。次郎の太刀はその
俊敏さにおいて級中第一の評があり、大山のそれとはいい対照をなしていた。勝負では次....