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俗衆
「俗衆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
俗衆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
会《さんかい》堂の展覧会などへ行くと、必ず二三人はこの連中が、傲然《ごうぜん》と
俗衆を睥睨《へいげい》している。だからこの上明瞭な田中君の肖像が欲しければ、そう....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の正しい意味から堕落させられている。というよりは、科学が素朴的に用いたこの言葉を
俗衆が徹底的に歪め穢してしまった。然し今はそれが固有の意味にまで引き上げられなけ....
「縮図」より 著者:徳田秋声
かと言った顔で頷いていた。 「だからね。やっぱりそうなんですよ。」 若林も一般
俗衆のように、親孝行には頭の上がらない好人物の一人で、世間の親というものについて....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
仏教復興として、或いは寧ろ仏教への模索として、現われる理由がある。之が宗教復興の
俗衆的な場合である。即ち比較的知能の低い社会大衆は、仏教と云う旧文化財に何か未知....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
垂れていたであろう。 況んや翁程の芸力と風格を持った人で、聊かでも名聞を好み、
俗衆の心を執る考えがあったならば、恐らく世界の文化史上に名を残す位の事は易々たる....
「転機」より 著者:伊藤野枝
う苦痛だったのだ。そして、私が一つ一つそれを黙って切り抜けるごとに、卑劣で臆病な
俗衆はいよいよ増長して調子を高める。しかし、たとえ千万人の口にそれが呪咀されてい....
「イデオロギーの論理学」より 著者:戸坂潤
大衆文芸・大衆作家の類を産むに至ったのを吾々は見る。大衆とは何等か、甘やかされた
俗衆か、思い上った愚衆ででもあるかのように見える。恐らく人々はかかる大衆に対して....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
知識人として又知能人として自負するインテリは必ず、非知識人乃至非知能者である
俗衆に対する一種の指導者としての支配権に、自信を持っている。仮に俗間の支配権は金....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
と幽霊は叫んだ、「お前さんはもう俗世界の手で、私の与える光明を消そうと思うのか。
俗衆の我欲がこの帽子を拵えて、長の年月の間にずっと私を強いて無理に額眉深にそれを....
「喫煙四十年」より 著者:寺田寅彦
意匠も名に相応しい俗悪なものであった。轡の紋章に天狗の絵もあったように思う。その
俗衆趣味は、ややもすればウェルテリズムの阿片に酔う危険のあったその頃のわれわれ青....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
父調査、教会と国家との分離、などを平気で取り扱っていた。彼らは二派に別れていた。
俗衆的象徴主義者と僧侶的象徴主義者とだった。紙屑《かみくず》屋の哲学者、売笑女工....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
なる。第一着者であることは、到達者であることを得さえすれば何物をもそこなわない。
俗衆は、自らおのれを崇拝しまた
俗衆を喝采《かっさい》する一つの年老いたナルシスに....
「戦後新人論」より 著者:坂口安吾
る。 法隆寺は今日では最も幽玄な芸術的遺物であるが、その造られた当初に於ては、
俗衆の目を見はらせてアッと感嘆せしめるために、人力の限りをつくして、当時最大の豪....
「リズムの構造」より 著者:中井正一
時、リズムの根底をなしている音楽的メトロノームは何を意味することとなるか。時計的
俗衆的時間になぜに音楽がその支配権を藉さなければならないか。 ここにこの考えか....
「偶言」より 著者:津田左右吉
ら見ると色調もなければ形もなく、いろいろの色をゴチャゴチャの芸術論のように芸術の
俗衆化を主張するのではないが、またもとより天才的芸術家の特殊の官能を尊重すること....