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俗謡
「俗謡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
俗謡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
十九
生きたいと思う心を岸本に起させるものは、不思議にも
俗謡を聞く時であった。酒の興を添えにその二階座敷へ来ていた女の一人は、日頃岸本が....
「忘れえぬ人々」より 著者:国木田独歩
に待っていた。 『人影が見えたと思うと「宮地ゃよいところじゃ阿蘇山ふもと」という
俗謡を長く引いてちょうど僕らが立っている橋の少し手前まで流して来たその
俗謡の意と....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
で、いわゆる江戸八宿のうちの一つの新宿。竹にすずめは仙台侯、内藤様は下がり藤、と
俗謡にまでうたわれたその内藤駿河守の広大もないお下屋敷が、街道ばたに五町ひとつづ....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
れた。細君が芋を入れれば、亭主はその上へ蓋を載せる。私達は「手鍋提げても」という
俗謡にあるような生活を眼のあたり見た。 小猫は肉の香を嗅ぎつけて新聞紙包の傍へ....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
痩馬のガタクリして行く馬車が非常なる危険として見られて「お婆アさん危いよ」という
俗謡が流行った。電灯が試験的に点火されても一時間に十度も二十度も消えて実地の役に....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
ているかという事を承知しなくてはならないと思う。 米のなる木をまだ知らぬという
俗謡がある。日本にいると、全く米のなる木を知らずに過している事が多いのは頗る危険....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
ように唄い囃して、身肌を見せたと、騒ぐんでしょう。」 (巻初に記して一粲に供した
俗謡には、二三行、 ………………… ………………… 脱落があるらしい、お米が口....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
たので再び楽器を手に取ると、悲喜こもごも至るというべき音楽が始まった。音楽師らは
俗謡を試みたのであるが、耳を傾けていたお客たちは皆なんとなく恐ろしい気がした。し....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
もある。この愛するあまり、「死んでしまえ」と思う感情の歌は後世のものにもあれば、
俗謡にもいろいろな言い方になってひろがって居る。 ○ 朝戸....
「巴里の唄うたい」より 著者:岡本かの子
たちまち巴里じゅうの口から口へ移されて三日目の晩にはもうアンピールあたりの一流の
俗謡の唄い手がいろいろな替唄までこしらえて唄い流行らしてくれるし譜本は飛ぶように....
「扉は語らず」より 著者:小舟勝二
いるのは彼の外に二人の仲間だけだ。その二人は五階の向う側をやっている。彼の咽喉が
俗謡を唱う。「巴里アパッシュの唄」が、百貨店装飾工の仕事行進曲になっても別に差支....
「鼻に基く殺人」より 著者:小酒井不木
、永久に知れずに済むであろう。けれども、永久に知れずに済ますにはあまりに惜しい。
俗謡に、「知れちゃいけない二人の仲をかくして置くのも惜しいもの」とある。その心理....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
ょっと今昔の感がありましょう。――(女ばかりか草さえ菜さえ能登は優や土までも――
俗謡の趣はこれなんめり。)と調子が乗って、はやり唄まで記した処は、御坊、ここで一....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
なければ気が済まなかったらしい。が、権威的の学術書なら別段不思議はないが、或る時
俗謡か何かの咄が出た時、書庫から『魯文珍報』や『親釜集』の合本を出して見せた。『....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
、あるいは岩の上から飛び降りるとかいうような事をやるんです。その間には大きな声で
俗謡を歌う。その声が非常に大きくってどこまでもよく通って美しいというのが壮士坊主....