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保護色
「保護色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
保護色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新種族ノラ」より 著者:吉行エイスケ
たりに××××るのはあまり感心しないがどうしたものか。赤い蛇皮《へびかわ》の靴。
保護色のような薄絹の手袋。暗褐色《あんかっしょく》に赤に横縞《よこじま》のあるア....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
とあれば、動物の色の因をその食物に帰したのは東西一轍と見える。ただし只今いわゆる
保護色も古く東西の識者に知れいたは、唐の段成式の『酉陽雑俎《ゆうようざっそ》』に....
「前哨」より 著者:黒島伝治
ふりかえって叫んだ。それは五十米と距らない赭土の掘割りの中に、まるで土の色をして
保護色に守られて建っていた。 「あいつも見て置く必要があるな。」 浜田は、さき....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
まで進化して来る間に、牛のような頭角も持たず、虎のような爪牙もなく、鳥の翼、魚の
保護色、虫の毒、貝の殻なぞいう天然の護身、攻撃の道具を一つも自身に備付けなかった....
「屁」より 著者:新美南吉
の色というものは、町ふうではなく在郷《ざいごう》ふうだからだ。 ある人びとは、
保護色性《ほごしょくせい》の動物のように、じき新しい環境《かんきょう》に同化され....
「イデオロギー概論」より 著者:戸坂潤
の――社会学的な分析に外ならない。それはドイツ古典哲学の終焉の後に、社会学という
保護色の下に今日まで生きのびた、落胤である(アルフレッド・ヴェーバーの歴史主義的....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
の可能性しかないというので、にわかに旅程を一変して「赤い都」の何日かを持つべく、
保護色のために私たちもせいぜい赤い顔をして赤い群集に混り、赤い――じつは黒い――....
「街の底」より 著者:横光利一
の腹は空き始めた。腹が空けば一日十銭では不足である。そこで、彼は蒼ざめた顔をして
保護色を求める虫のように、一日丘の青草の中へ坐っていた。日が暮れかかると彼は丘を....
「ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
でいる。あるところでは水草が密生して流の方嚮に靡いて居り、そこにも魚の列が一定の
保護色を保ちながら泳いで居た。魚は Forelle の一種で、民顕の市場などでも....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
も今日は陽気であった。もっともいつもこの侍は陽気で駄弁家で道化者であって、それを
保護色にはしていたが。 「たとえば貴殿と浪江殿とが、そのようにいかにも親しそうに....
「決闘」より 著者:神西清
れたのは、不器用な鳥で巣のかけ方が拙くって、隠しおおせなかったからだ。蛙はきっと
保護色に欠陥があったにちがいない。さもなけりゃ見附からずにすんだ筈だ。以上すべて....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
来てるんだ。……だから、すぐ傍まで行かないと見えないんだ。 文麻呂 ふーん?……
保護色なんだね? 清原 ん、……そうなんだ。 文麻呂は清原の煮え切らぬ態度を不愉....
「莢豌豆の虫」より 著者:佐藤垢石
得ないから、手の届くところの青葉の草むらへ分け入って、青虫を捜しまわった。しかし
保護色を持っている青虫は、一匹も私の眼にとまらなかった。青い葉に、青い小さな虫が....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
観は今日ではもはや問題にならないが、為永春水|輩でさえが貞操や家庭の団欒の教師を
保護色とした時代に、馬琴ともあるものがただの浮浪生活を描いたのでは少なくも愛読者....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
」 そのまま道のないところを歩いて、姿をかくしてしまった。 枯れ木や枯れ葉の
保護色の中にじっと屈みこんでいた城太郎は、もうよい時分――と藪の中からそっと首を....