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保身
「保身〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
保身の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
だ。それは僕も知っている。しかし、彼等が郷に従うのは彼等の無気力のためだ。彼等の
保身のためだ。けちくさい虚栄心のためだ。豚でも反吐を吐く代物だ」 豹一はふと中....
「長篠合戦」より 著者:菊池寛
いて、徳川に帰順したわけである。大国と大国との間に挾まる小大名、豪族などは一家の
保身術として、彼方につき此方に付く外なかった。うまく、游泳してよい主人についた方....
「縮図」より 著者:徳田秋声
わぬ因習に囚われがちな気分もあると同時に、儒教が孤独的な道徳教の多いところから、
保身的な独善主義に陥りやすく、そういうところから醸された雰囲気は、均平にはやりき....
「弟子」より 著者:中島敦
る。身を殺して仁を成すべきことを言いながら、その一方、どこかしら明哲《めいてつ》
保身を最上智と考える傾向が、時々師の言説の中に感じられる。それがどうも気になるの....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
なにしろ、徳川家のお髯《ひげ》の塵《ちり》をはらうのが、当時の大名の何よりの
保身術だったから、われもわれもと知恵をしぼって、すばらしい寄進のあったなかに。 ....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
主義者に対する非難にさえ興味を有つようになった。 だがこの転向は必ずしも三木の
保身上のアダプテーションの結果ばかりではない。この転向の可能性はプロ科時代の宗教....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
とるよ。近藤や土方《ひじかた》は、討死のできる奴だが、勝や山岡を見てい給え、明哲
保身とかなんとかで、うまく危ないところを切り抜けて、末始終は安全を計る輩《やから....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
」 「すべてインスピレーションは偶然でさア。人生も芸術も目的はすなはち一つ、養命
保身ですな。そこでタイコをならす」 「なんのタイコ?」 「天妙教ですよ。先生ほど....
「学生と生活」より 著者:倉田百三
であり、損害と不幸とを顧みずして運命を愛する真の生活者でありたいならば、私はこの
保身と幸福にはまるで不便な、「恋愛運命論」によって、その恋愛を指導することを勧め....
「志賀直哉に文学の問題はない」より 著者:坂口安吾
、まことの祈りは翳だになく、見事な安定を示している志賀流というものは、一家安穏、
保身を祈る通俗の世界に、これほど健全な救いをもたらすものはない。この世界にとって....
「雪の宿り」より 著者:神西清
て来た。そこで俺の見たものは何か。驚くべき頽廃堕落だ。でなければ見事きわまる賢哲
保身だ。それを粉飾せんが為の高踏廻避と、それを糊塗せんが為の詩禅一致だ。済世の気....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
、そのときでさえ運命の星のなかで催して今にも私を包みそうな風雨を避けようとする、
保身の精神によってなされたものだ。それが勝利を占めたことは、魂の異常な静けさや嬉....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
ずるような殊勝な人物ではない。その子の長政も同様で、万全を期してはかっているのは
保身だけだ。他日幕府によって取りこわされ発掘されるかも知れない切支丹の墓に遺骨や....
「二・二六事件に就て」より 著者:河合栄治郎
ァッシズムに対抗する一点に於ては、彼等は吾々の老いたる同志である。動もすれば退嬰
保身に傾かんとする老齢の身を以て、危険を覚悟しつつその所信を守りたる之等の人々が....
「日本男子論」より 著者:福沢諭吉
身を害するも、その害は同様なるべし。然るに今|虎列剌《コレラ》の流行に際して我が
保身の法を如何《いかん》するや。天下の人|皆《みな》病毒に感ず、流行病は天下の流....