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「俯伏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

俯伏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
音が耳を裂《さ》いた。彼は思わず飛び立とうとした。が、すぐにまた前へ倒れた。雨は俯伏《うつぶ》せになった彼の上へ未練未釈《みれんみしゃく》なく降り濺《そそ》いだ....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
きたばこ》を口へ啣《くわ》えたまま、マッチをすろうとする拍子《ひょうし》に突然|俯伏《うつぶ》しになって死んでしまった。いかにもあっけない死にかたである。しかし....
婦系図」より 著者:泉鏡花
。あの、記念にね、貴下に上げて下さいッて、主税さん、」 と向う状に、椅子の凭に俯伏せになると、抜いて持った簪の、花片が、リボンを打って激しく揺れて、 「もうそ....
ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
と帆村は一振の薄刃の短刀をポケットから出してみせた。 怪漢は縛られたまま廊下に俯伏せになって転がっていたが、動こうともしない。その横をすりぬけて、私達は気懸り....
地獄の使者」より 著者:海野十三
烈に突き刺したようであった。芝山は、いきなり腕を前に振ると、頭を両腕の中に抱えて俯伏した。そしてなかなか顔をあげなかった。 このとき一座の視線は、この芝山と帆....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
な、その何も…… 晃 こりゃ、百合と云う。 お百合、座に直った晃の膝に、そのまま俯伏して縋っている。 学円 お百合さんか。細君も……何、奥方も…… 晃 泣く奴が....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
う。前の遊女は、身を寄せるのに馴れた。しかも披露目の日の冷汗を恥じて、俊吉の膝に俯伏した処を、(出ばな。)と呼ばれて立ったのである。…… お染はもとの座へそう....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
れぬ。 同時に内に入らんとせし、謙三郎は敷居につまずき、土間に両手をつきざまに俯伏になりて起きも上らず。お通はあたかも狂気のごとく、謙三郎に取縋りて、 「謙さ....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
ほほ。」 「擽りますよ!」 「そうはゆかない、あれ!」 と言うより身震せしが、俯伏にゆらめく挿頭、真白き頸、手と手の間を抜けつ、潜りつ、前髪ばらりとこぼれたる....
黒百合」より 著者:泉鏡花
男性の意気|熾に、また仰ぎ見ることが出来なかったのであろう、お雪は袖で顔を蔽うて俯伏になった。 「どうしたならどうしたと聞くさ、容体はどうです目が見えないか、と....
不周山」より 著者:井上紅梅
ぎて、山の上から顔に白い毛のある一つ振り落され、その時早く水面にも落ちず、海辺に俯伏になって、自分の脣を打った。女※は可哀想に思ったがそのままにしといた。彼女は....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
念じるだ。しっかりよ。)と云うのを聞いて、雲を漕ぐ櫂かと危む竹杖を宙に取って、真俯伏になって、思わずお題目をとなえたと書いています。 旅行は、どうして、楽なも....
式部小路」より 著者:泉鏡花
めてました。と哄と、皆が躍り込むと、店へ下り口を塞いで、尻をくるりと引捲って、真俯伏せに、土間へ腹を押ッつけて長くなってのたくッていたのが野郎で、蹴なぐって横へ....
活人形」より 著者:泉鏡花
つくれば、連理引きに引かれたらむように、婦人は跳ね起きて打戦き、諸袖に顔を隠し、俯伏になりて、「あれえ。」 倉瀬泰助は旅店を出でて、雪の下への道すがら、一叢樹....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
綸を出しながら小声に、『何だって、馬鹿に強いよ。』と言えば、死したる如く、水押に俯伏して動かざる船頭、 『左様でしょう。六年ですよ。此の調子では、また一寸には痿....