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倍
「倍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
倍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
はたった七十銭にこの本を売ったことを思い出した。が、やっと売《う》り価《ね》の二
倍、――一円四十銭に価切った末、とうとうもう一度買うことにした。雪の夜の往来は家....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
阿呆ものじゃ。その阿呆ものの太刀にかかって、最期《さいご》を遂げる殿の方が、百層
倍も阿呆ものじゃとは覚されぬか。」
「何、その方どもが阿呆ものだとな。ではこの中....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
が、また一つには彼の性情が、どちらかと云うと唯物的な当時の風潮とは正反対に、人一
倍純粋な理想的傾向を帯びていたので、自然と孤独に甘んじるような境涯に置かれてしま....
「河童」より 著者:芥川竜之介
とくとく》と僕といっしょにこの大寺院へ出かけました。なるほどそれはニコライ堂の十
倍もある大建築です。のみならずあらゆる建築様式を一つに組み上げた大建築です。僕は....
「彼」より 著者:芥川竜之介
た後《のち》、度たびこの二階へ遊びに行った。すると彼は硝子《ガラス》窓の下に人一
倍細い頸《くび》を曲げながら、いつもトランプの運だめしをしていた。そのまた彼の頭....
「古千屋」より 著者:芥川竜之介
れは実際直孝には疑う余地などのないことだった。しかし家康はいつの間《ま》にか人一
倍大きい目をしたまま、何か敵勢にでも向い合ったようにこう堂々と返事をした。――
....
「二人小町」より 著者:芥川竜之介
獄へ行くのです。
小町 地獄へ! そんなはずはありません。現に昨日《きのう》安
倍《あべ》の晴明《せいめい》も寿命《じゅみょう》は八十六と云っていました。
使....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
忘れるもんかな。」
「じゃそうして頂戴よ。」
お絹は昨日《きのう》よりもまた一
倍、血色の悪い顔を挙げて、ちょいと洋一の挨拶《あいさつ》に答えた。それから多少彼....
「葬儀記」より 著者:芥川竜之介
場を出て、入口の休所《やすみどころ》へかえって来ると、もう森田さん、鈴木さん、安
倍さん、などが、かんかん火を起した炉《ろ》のまわりに集って、新聞を読んだり、駄弁....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
る。が、誰も己の苦しみを察してくれるものがない。」――そう思う事が、既に彼には一
倍の苦痛であった。
修理の神経衰弱は、この周囲の無理解のために、一層昂進の度を....
「運」より 著者:芥川竜之介
》に、慌《あわただ》しくどこかへ出て参りました。その後《あと》の淋しさは、また一
倍でございます。いくら利発者でも、こうなると、さすがに心細くなるのでございましょ....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
嫌疑を蒙っていた。それもまた実際仕かたはなかった。彼は家の焼ける前に家の価格に二
倍する火災保険に加入していた。しかも偽証罪を犯した為に執行猶予中の体になっていた....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
とられた。もうかれこれ暗くなる事、去年の暮母と岩村まで来たが、今日の途はその三四
倍ある事、それを今からたった一人、歩いて帰らなければならない事、――そう云う事が....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
あったら、そこに置いてある自分の書籍を忘れずに取り出してくれ。これらの書籍は旧に
倍しても珍重するから」と書いてやった。また自分の属する教会の長老には寺院のお祭り....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ます」 用心深い老紳士はこの説明をきいて、三段論法の推理にしたたか悩まされ、十
倍もひどく眉をしかめた。一方、霜降り服の紳士は、勝ち誇って、いくぶん侮りの眼で相....