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倒錯
「倒錯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
倒錯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
合を考えるが好い。あの呪《のろ》うべきマソヒズムはこう云う肉体的快不快の外見上の
倒錯に常習的傾向の加わったものである。わたしの信ずるところによれば、或は柱頭の苦....
「男女同権」より 著者:太宰治
じい文章を或る詩の雑誌で読み、がたがた震えまして、極度の恐怖感のため、へんな性慾
倒錯のようなものを起し、その六十歳をすぎた、男子にも珍らしいくらいの大きないかめ....
「女人訓戒」より 著者:太宰治
ずからすすんで、彼女の方から兎になってやったのである。女性には、このような肉体|
倒錯《とうさく》が非常にしばしば見受けられるようである。動物との肉体交流を平気で....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
(以下二三七字削除)現在の十四郎には生存を拒まねばならない――その物狂わしさは、
倒錯などというよりも、むしろ心の大奇観だったであろう。まったく、この不思議な貞操....
「さようなら」より 著者:田中英光
で、別離の悲哀に無感覚になったばかりか、緊張病の狂人が自分の糞尿を愛惜するような
倒錯心理に似て、自分にいちばん苦痛を与える別離の悲しさを、苦しい故に反って愛する....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
それに向って偏執的に傾倒してしまって、ひたすら逆の形で感応を求めようとする。その
倒錯心理だが――それにもしこの図の本質が映ったとしたら、それが最後となって、観察....
「新ハムレット」より 著者:太宰治
に堪え得ず、優しい慰めの言葉を或る人に求めたのです。オフィリヤです。悲しみと恋が
倒錯したのだと思います。ハムレットだって、いまは、オフィリヤにどんな気持を抱いて....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
べてねばるものである。極度に凹むと、裏のほうがふくれて来る。つまり、あの自尊心の
倒錯である。原田もここは必死、どもりどもり首を振って意見を開陳し矢鱈にねばる。 ....
「惜別」より 著者:太宰治
気持も含まれていたのではなかろうかとさえ思われる。敬愛の念が、ぎくしゃくと奇妙に
倒錯して、ついに、仙台あなどるべからず、とでもいうような「張り合う」気持などが出....
「創生記」より 著者:太宰治
が死後、――いやだ! 真珠の雨。無言の海容。すべて、これらのお慈悲、ひねこびた
倒錯の愛情、無意識の女々しき復讐心より発するものと知れ。つね日頃より貴族の出を誇....
「鉄面皮」より 著者:太宰治
読みつづけた事があったけれど、あの時の気持と実に似ている。あまりの恐怖に、奇妙な
倒錯が起ったのである。鉄面皮。このお面をかぶったら大丈夫、もう、こわいものはない....
「余裕のことなど」より 著者:伊丹万作
重視される。したがつて直情径行は嘲笑と侮蔑の対象でしかなくなる。 こうして一度
倒錯した価値観は封建時代からずつと現代にまで根を引いているのであるが、それが本来....
「決闘」より 著者:神西清
患といわゆる精神病の一切は、僕の知っているかぎりでは何よりもまず最初に、道徳律の
倒錯となって現われるね。」 「わかりました。するとこうですね、胃の腑が食物を要求....
「(私はさきごろ)」より 著者:高村光太郎
ような気がせず、朝夕を夢うつつの境に送り、何だか眼の前の見なれた風景さえ不思議な
倒錯を起して、小屋つづきの疎林はパリのフォンテンブロオの森かと思われ、坂の上の雪....
「文妖伝」より 著者:田中貢太郎
往くと云う細君と伴れ立って家を出て、二三日横浜あたりを遊び歩いて帰った日の細君の
倒錯的な癖を彼は思いだした。己は疲れて横になっていた日のことを。 「何をそんなに....