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倖せ
「倖せ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
倖せの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ェコ人で梵語《ぼんご》学者である。
「ここで、国のお方にお逢いできるとは、望外な
倖せです。私は、『|天母生上の雲湖《ハーモ・サムバ・チョウ》』登攀の希望をもって....
「髪」より 著者:織田作之助
うである。この話を聴いた時、私は鼻血は出たけれど大工の演説を聴かずに済んだ自分を
倖せに思った。私は自分の精神の衛生上、演説呆けという病気をかねがね怖れていたので....
「わが町」より 著者:織田作之助
びしい路地裏住いよりも、こんな大家にひきとられて、乳母傘で暮せば、なんぼこの子の
倖せかと、願うてもない孫の
倖せを想わぬこともなかったが、しかし、この子の中には新....
「青春論」より 著者:坂口安吾
い方が幸福だと僕は思う。女房のカツレツを満足して食べ、安眠して、死んでしまう方が
倖せだ。僕はこの夏新潟へ帰り、たくさんの愛すべき姪達と友達になって、僕の小説を読....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
っ……、不、不調法にござりました。何とぞお目こぼし給わりますれば、島津修理、身の
倖せにござります。ははっ、こ、この通りにござります」 「そうあろう、そうあろう。....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
主水之介も嫌いなような好きなような顔をして参ろうぞ。早う舞台を勤めい」 「有難い
倖せでござります。お退屈でござりましょうが、ハネるまでこの楽屋ででも御待ち下さり....
「食べもの」より 著者:佐藤垢石
ど、欲をいうなら見逃して貰いたかったのである。それでもまあ、没収を受けないで娘は
倖せ者の部類に入ろう。 親戚の者が、困っているのに対し、藷や菜っ葉を少しずつ分....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
ことが出来ず、塩など舐めて済ます有様でしたから、浅野さんは店で食事をするだけでも
倖せだなどと言っていました。中村屋とてもその頃は充分な手当を支給出来なかったから....
「草藪」より 著者:鷹野つぎ
からそれへと際限がなかった。 心を傷めることの少ない病床は、同じ病床でも遙かに
倖せであった。およそ肉体の病気に拍車をかけるものは、精神の苦痛にまさるものはなか....
「陳宝祠」より 著者:田中貢太郎
断崖絶壁の恐れがあったが、しかしそれには径を見つけ、人家を見つけるという万一を僥
倖せられないこともなかった。 杜陽はとぼとぼ朽葉の上を踏んで往った。燈の光のよ....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
浮かぶ。ああ東京はいろんな事があったと思う……。辛いことばかりのくせに、辛い事は
倖せな事にはみんな他愛なく忘れてしまう。どんどろ大師の弓ともじって、弓子さんと云....
「魔都」より 著者:久生十蘭
か。千里眼でもあるまいし」
「それでその娘は他にどんな話をしたか」
「鶴子さんは
倖せだといってました。これァ昨夜に限らずいつでも申すんです」
「それだけか」
「....
「若人の要求」より 著者:宮本百合子
の婦人達がやがて選挙権を行使するのですからその人々のためにも、日本のためにも、不
倖せなことです。これに反して、働く職場の婦人達は同じ年齢でもはるかに社会生活の真....
「女の一生」より 著者:森本薫
んですもの。 章介 総子さん、君は仲々家庭的で思いやりがあっていい婦人だ。きっと
倖せになりますよ。 総子 あら、でも私、こういう台所のことするの好きなんですもの....
「痀女抄録」より 著者:矢田津世子
れるだろうと思う。しかし、これを強いて、あなたに勧める気持ちは無い。あなたが真に
倖せに生きる道をどこに求めたらいいか、わたしも考えてみたが……まだ、いまは銀三の....