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倚
「倚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
倚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
来たことを知らせに来た時まで、彼はまるで夢でも見ているように、ぼんやり縁側の柱に
倚《よ》りつづけていた。
十
独《ひと》りで寂しい昼飯をすませた....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
昔のような元気がなくなってしまいました。たとえば学校へ参りましても、教員室の机に
倚《よ》り懸《かか》りながら、ぼんやり何かに思い耽って、授業の開始を知らせる板木....
「影」より 著者:芥川竜之介
実なる友より。」
手紙は力なく陳の手から落ちた。
……陳は卓子《テーブル》に
倚《よ》りかかりながら、レエスの窓掛けを洩《も》れる夕明りに、女持ちの金時計を眺....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
み》を見はらずにはいられないのである。ことに夜網《よあみ》の船の舷《ふなばた》に
倚《よ》って、音もなく流れる、黒い川をみつめながら、夜と水との中に漂う「死」の呼....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
憶に浸《ひた》り出した。柳盛座《りゅうせいざ》の二階の手すりには、十二三の少年が
倚《よ》りかかっている。舞台には桜の釣り枝がある。火影《ほかげ》の多い町の書割《....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
。居合せたものはつり込まれて彼れの周囲に集った。女まで引張られるままに彼れの膝に
倚《よ》りかかって、彼れの頬《ほお》ずりを無邪気に受けた。
「汝《われ》がの頬に....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
読むほどの余裕をその車に与えた。その時車の梶棒《かじぼう》の間から後ろ向きに箱に
倚《よ》りかかっているらしい子供の脚を見たように思った。
彼がしかしすぐに顔を....
「星座」より 著者:有島武郎
度自分の肩に感じてみたい。
力の不足、自分一人ではどうしようもない力の不足――
倚《よ》りすがることのできるものに何もかも打ち任《ま》かして
倚《よ》りすがりたい....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
めるに当って、先ず坐り心地のいい一脚の椅子を得たように思う。私の仕事はこの椅子に
倚ることによって最もよく取り運ばれるにちがいないのを得心する。私はこれからでも無....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
てそを哺むものは霊に至らざればやまざるを知らざるや。されど心の眼さときものは肉に
倚らずして直に愛の隠るる所を知るなり。聖処女の肉によらずして救主を孕み給いし如く....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
屋の呼声かえッて熱さを加え、立売の西瓜日を視るの想あり。半ば渡りて立止り、欄干に
倚りて眺むれば、両岸の家々の火、水に映じて涼しさを加え、いずこともなく聞く絃声流....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
のごときは仏蘭西に結びその力を仮りて以て幕府統一の政をなさんと欲し、薩長は英国に
倚りてこれに抗し互に掎角の勢をなせり。而して露国またその虚に乗ぜんとす。その危機....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
いうことも世間にはある。頼むのは、ただそればかりだった。 彼等はよく互にひたと
倚りそって、あてもなく、ただ前へ前へと歩いて行った。その容子がいかにも哀れに悲し....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
ものが一つ置いてある。もしこの椅子のようなものの四方に、肘を懸ける所にも、背中で
倚り掛かる所にも、脚の所にも白い革紐が垂れていなくって、金属で拵えた首を持たせる....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
に近づくを喜ぶに同じく、得意の興趣、水上に投射せる己が影の長きより長し。 舷に
倚り手を伸べて右の示指に綸を懸け、緩く進退しながら、 漁『松さん、鈴よりかの方が....