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「偏倚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

偏倚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
空虚な空中楼閣が築き上げられる。肉と霊とを峻別し得るものの如く考えて、その一方に偏倚するのを最上の生活と決めこむような禁慾主義の義務律法はそこに胚胎されるのでは....
近時政論考」より 著者:陸羯南
つきて無感覚なるにあらず、国富論派が日本人民の旧思想ただ虚礼虚儀に拘泥し卑屈服従偏倚して、個人的生存の気象なきを憂とし、もっぱらこの旧弊を破除せんと欲したるがご....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
み嫌い而して恐るゝのであるまいか。 生命は共通である。生存は相殺である。自然は偏倚を容さぬ。愛憎は我等が宇宙に縋る二本の手である。好悪は人生を歩む左右の脚であ....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
は毫《ごう》も敢てして居らぬ、此の時代に於ては律義な人である。又佐々成政のような偏倚《へんき》性格を有った男でも無かった。だから成政を忌むように秀吉から忌まれる....
しかし昔にはかえらない」より 著者:宮本百合子
り細分された文学愛好者グループとして、旧い文学と文壇潮流からうけて来ている個性の偏倚や文学観のかたよりを解放しようとする方向にある。一定の成功を示しているか、そ....
平塚さんと私の論争」より 著者:与謝野晶子
大に尊重しておられることが解ります。私は人間生活の高度な価値を父たり母たることに偏倚させて考えることを欲しません。私が賢母良妻主義に反対するのも一つは同じ理由か....
日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
国家理論であり、之に反して主権説は右翼の国家理論であるが、日本主義こそ中道を行く偏倚せざる国家理論だということだけだ。 自由主義はマルクス主義と同じ本質のもの....
思想としての文学」より 著者:戸坂潤
というジャーナリズム活動なのであるが、ジャーナリズムがジャーナリズム・プロパーに偏倚するに従って、アカデミズムが何か反ジャーナリスティックなものであるかのように....
新婦人協会の請願運動」より 著者:与謝野晶子
活までを、国家化し、法律化し、科学化し、論理化し、形式化するような、粗野な行動に偏倚されないことを祈ります。 平塚さんたちは、その請願趣旨に附記して、これに反....
死者の書」より 著者:折口信夫
った。 郎女の額の上の天井の光の暈が、ほのぼのと白んで来る。明りの隈はあちこちに偏倚って、光りを竪にくぎって行く。と見る間に、ぱっと明るくなる。そこに大きな花。....
厄年と etc.」より 著者:寺田寅彦
における死亡率の曲線を捜し出してみた。すべての有限な統計的材料に免れ難い偶然的の偏倚のために曲線は例のように不規則な脈動的な波を描いている。しかし不幸にして特に....
我が人生観」より 著者:坂口安吾
年に似ぬ大きな良識をそなえているかも知れぬと、私はひそかに買い被っていた。彼らの偏倚は外面だけの歪みで、内には大きな良識があるのだろうと期待をいだいていたのであ....
経済学及び課税の諸原理」より 著者:吉田秀夫
ち市場価格が、この、それらのものの第一次的かつ自然価格から、偶然的なかつ一時的な偏倚をすることを否定するものと、想像されてはならない。 通常の事態においては、....
黒い手帳」より 著者:久生十蘭
、勝手にかんがえてくれてよろしい。 一、この年の中頃から為替《かわせ》は不幸な偏倚をつづけていた。三月目《みつきめ》にはむかしの半分に、半年の終りには約三分の....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
淋しいもので包もうとしている。変化を主とすることは古今同じでも、毎に均整に注意し偏倚を避けていた。起伏高低が大きいだけでなく、波動の中心を出来るだけ広い区域に、....