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偏執
「偏執〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
偏執の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
が、当主熊次郎に至り始めて結ばれた。それが、今日の神経病学で云う、いわゆる幻覚性
偏執症だったが、偶然にもその月、彼の幻覚が現実と符合してしまった。そして、夢中云....
「失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
スター聖書は、自身を河竹に奪わせなかったのです」 「おお」 鹿子が思わず狂的な
偏執を現わし、卓子の端をギュッと掴んだ。 「如何にも、河竹に続いて、私はコスター....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
女主人であると思って、備前屋ではおそらく馬鹿にしているのであろうという、女らしい
偏執《ひがみ》まじりの愚痴《ぐち》も出た。その
偏執や愚痴は別としても、備前屋が今....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
いのだった。いつもそっぽを向いて話しかけたり、感心したりするのだった。それはこの
偏執な科学者の癖として仕方がないと我慢ができるが、さっきからだんだんと我慢のなり....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
つの世界一つの観念――しかない人間というものは、興味を与えられると、それに向って
偏執的に傾倒してしまって、ひたすら逆の形で感応を求めようとする。その倒錯心理だが....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
はあるが義務ではない――と云う言葉などで、ひどく悩んだことでしょうが、結局根強い
偏執のためには敵すべくもなかったのです。ところで、告白書の中にこう云う一節があり....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
んの、柔かに投げた腕を撫で、撫で、 (この、清い、雪のような手を見て下さい。私の
偏執と自我と自尊と嫉妬のために、詮ずるに烈しい恋のために、――三年の間、夜に、日....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
るだけ櫛でふせて置くようにしております。 新吉はめずらしく手紙の此の部分だけを
偏執狂のように読み返えし読み返すのをやめなかった。おみちに実家から肩揚げのついた....
「富岡先生」より 著者:国木田独歩
されたと思うと突然帰国された、それに就て自分は大に胸を痛めている、先生は相変らず
偏執ておられる。我々は勿論先輩諸氏も決して先生を冷遇するのではないが先生の方で勝....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
が、何故となくその紅色をした一等車と云っただけで、さしもお筆の心中に渦巻いている
偏執が判ったような気がした。あの紅色の一点――それがどうして、下向いてはならない....
「わが妻の記」より 著者:伊丹万作
も苦難の激しい時である。 育児。確かに熱心ではある。しかし、女性の通有性として
偏執的な傾向が強く、困ることも多い。勉強などではとかく子供をいじめすぎる。もつと....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
には、一つの共通した要素があると云えましょう。それで、貴女の夢と、神経病者朝枝の
偏執とが一致したのですが、あの、蕾が開かずにいてくれたら――という願望は、つまり....
「思い」より 著者:伊丹万作
が、私はいつまでも小児病的に、資本家だの従業員だのとものを対立的にしか見ないほど
偏執的な人間ではない。しかし、今度の場合は、区々たる利害関係においてでなく、「国....
「春」より 著者:岡本かの子
は、今一度京子を叱って自分の態度へバウンドを付けた。京子が、目星を執拗に気にする
偏執性を退散させるには、加奈子はやや強い態度が必要だった。 ――あなたはあんまり....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
恐ろしげな眼である。その深い青さの底には、なにか気ちがいめいたもの、――ほとんど
偏執狂にも近い何物かが潜んでいる眼であった。彼女の月日はすぎていった。 絶ゆる....