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偏執狂
「偏執狂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
偏執狂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「指と指環」より 著者:佐左木俊郎
テルのグラスを唇に持って行った。 彼は最早《もはや》常人ではなかった。彼は指の
偏執狂《へんしつきょう》だった。死んだ愛人の彰子《あきこ》の手のように素晴らしく....
「復讐」より 著者:夢野久作
前の殺人犯人に凝視されているという脅迫観念や、復讐をしなければ止まぬというような
偏執狂式の空想に囚われている原因も……何もかもがこの事件の核心となっているタッタ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、身動きも出来ぬほど装甲されているのである。それにもかかわらず、不敵きわまりない
偏執狂的な実行を宣言して、ダンネベルグ夫人と易介に続く、三回目の惨劇を予告してい....
「伸子」より 著者:宮本百合子
子の精神状態も全く危機にあった。次第に緊張し張り切って来る心の苦痛で彼女は一種の
偏執狂《モノメニア》になりかけであった。一人静かにいる時、彼女は、この生活がいつ....
「ソヴェトの芝居」より 著者:宮本百合子
いているんだなあ。 ――嘘かい? ――ソヴェトのプロレタリアートや彼等の党は
偏執狂じゃないよ。あらゆる人間の才能を十分発揮させようとしているのだ。ただ、ソヴ....
「同志小林の業績の評価によせて」より 著者:宮本百合子
であると云わなければならない。レーニンは裏切り者カウツキーによって偏狭どころか、
偏執狂とさえ云われた。そしてそれがデマゴギーであることは、歴史が証明しているとこ....
「バルザックに対する評価」より 著者:宮本百合子
我的であったこと、情熱の制御を知らなかったこと等を部分的にとりあげて、一種病的な
偏執狂的傾向があったと言っている。そのような批評家は同じ考えを作品にまで敷衍して....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
るだけ櫛でふせて置くようにしております。 新吉はめずらしく手紙の此の部分だけを
偏執狂のように読み返えし読み返すのをやめなかった。おみちに実家から肩揚げのついた....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
うとする熱烈、病熱的情熱。あらゆる価値の相対性、それらを型《タイプ》化せんとする
偏執狂的熱中。自己陶酔、偉大なる断篇《トルソー》としてつかんで居て、特に金銭がバ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
れのアキレスの美しい足には接吻《せっぷん》したい。しかし聖書《バイブル》の神は、
偏執狂の老ユダヤ人で、恐ろしい狂人で、いつも怒号し威嚇《いかく》し、怒《おこ》っ....
「学生と先哲」より 著者:倉田百三
的把握と高貴の徳との支配する世界に立つならば、日蓮のドグマと、矜恃と、ある意味で
偏執狂的な態度とは興味津々たるものがあるのである。われわれは予言者に科学者の態度....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
ずもなく、選者たるの資格もない。 私はグウタラで、ヒネクレ根性で、交際ギライの
偏執狂であるが、しかし、私は、自分のつくすべき役割への責任を知り、人のために、自....
「魔都」より 著者:久生十蘭
て緻密な頭脳の持ち主で、これまでに様々の難事件を解決して来たが、不条理に対しては
偏執狂かと思われるほどに苛酷。いやしくも不正と認めたら神をも告発することを辞せぬ....
「その人を知らず」より 著者:三好十郎
は、どういうんだね? 男1 直接ヤソ教に関係の有ることじゃないだろう。やっぱり、
偏執狂というか―― 男4 ああ。ああ。たまらねえ。…… 男3 ちがう。俺あ、あの....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
恐ろしげな眼である。その深い青さの底には、なにか気ちがいめいたもの、――ほとんど
偏執狂にも近い何物かが潜んでいる眼であった。彼女の月日はすぎていった。 絶ゆる....