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偲ばし
「偲ばし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
偲ばしの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「真田幸村」より 著者:菊池寛
と述懐している。こう云う親心が、うごいている点こそ、却って幸村の人格のゆかしさを
偲ばしめると思う。 幸村の最期の戦いは、越前勢の大軍を真向に受けて開始された。....
「狂乱」より 著者:近松秋江
であった。松井の女あるじの今なお一見、二、三十年前この土地で全盛を謡われたことを
偲ばしめるに反して、お繁婆さんの方は標致もわるく、見るから花車婆さんのような顔を....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
ると、私は私自身の生れた家を思い出す。それから船場方面や靱あたりには、私の幼少を
偲ばしめる家々がまだ相当にのこっている。 現在の堺筋は殆ど上海の如くであるがそ....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
のちょっと降りて見て、直に私はその横町に道頓堀と同じレコードの伴奏によって赤玉を
偲ばしめるであろうところの女給の横顔を認めることが出来た。頼もしくもまた悲しくも....
「桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
す桜かな 園女 花の戸ぼそにぬぎもそろわぬ草履は、奥ふかくは入った美しい人を
偲ばしめ、夕風にちりくる花をあびつつそぞろに襟をかきあわし佇む女、返り文をかく間....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
枝を描き、畳の隅に三日月形の穴を開け、下から微かに光線を取って昼なお暗き大森林を
偲ばしめる趣向で、これを天狗部屋と称していた。この人の顔さえ定かならぬ薄暗い室に....
「三国志」より 著者:吉川英治
っ」と、曹操の叱咤はいよいよ烈しい。一片の情、一滴の涙も知らぬような面は、閻王を
偲ばしめるものがあった。 呼びだした慶童を突きあわせて、董承の吟味にかかる段と....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
てはいるのだが、幼ない頃に見たのとはどうも様子が少し違う。ということが一段と昔を
偲ばしめたのである。 たとえば「雀の毛槍」などは、私等が抽いて弄んだのは、もっ....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
く筋骨をむき出してはいるが、山勢頗る峭抜して、坐ろに駒ヶ岳から仰いだ北岳の雄姿を
偲ばしめるものがある。 湯沢山の右には鹿の子斑に雪の積った会津の駒ヶ岳が広い頂....